Closer Cooperation Between US and Japan Urgent To Stabilize Asian Seas

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 中国の海洋進出を受けてアジアの海が波立っている。そんな現状を映して、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議では中国と日本、米国が激しくぶつかった。議論を振り返ると、日本が果たすべき役割も浮かび上がる。

 会議は5月30日から1日まで開かれ、日本からは安倍晋三首相と小野寺五典防衛相が参加した。ヘーゲル米国防長官や東南アジア各国の国防相、中国軍の王冠中副総参謀長らも出席した。

 ひとつの成果は、中国の行動を念頭に「力ずくの現状変更」を認めない姿勢を、日米が結束して示したことだ。

 中国は南シナ海で石油採掘を強行し、ベトナムと激しく対立している。東シナ海では一方的に防空識別圏(ADIZ)を設けた。

 ヘーゲル長官は国名をあげて中国を非難し、こうした行動を黙認しないと強調した。安倍首相は名指しこそ避けながら中国をけん制し、東南アジア諸国との海洋安全保障協力を強めると表明した。

 東南アジアの国々は、米国がこの地域の安定にどこまで関与するのか、不安に思っている。それだけに、南シナ海の安定に日米がそろって関与する路線を確認した意味は大きい。

 しかし、いくら言葉で約束しても、具体策が伴わなければ元も子もない。安倍首相はフィリピンなどに加えベトナムにも巡視船を供与すると表明したが、米側と役割を分担し、より相乗効果を見込める支援も進めてほしい。

 たとえば、米軍の大型艦船や航空機が東南アジアで活動しやすくなるよう、米側とも調整のうえ、各国による港湾や空港の整備を支援していくのも一案だろう。

 注意しなければならないのは、東南アジアは必ずしも一枚岩ではないという現実だ。域内には中国に近接するラオス、カンボジアや、華人人口を多く抱えるタイ、シンガポールなどもある。

 日米に地域への関与を深めてほしいが、日米と中国が激しくぶつかり東南アジアが板挟みになるのは避けたい――。各国の言動にはこんな複雑な本音もにじむ。

 日米は中国をけん制するだけではなく、対話を促し緊張を和らげる努力にも力を入れなければならない。特に、いざというときに双方が連絡を取り合い衝突を回避するための枠組みづくりは急務だ。安倍首相には、この面でも行動力を示してもらいたい。

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