The Time is Now to Rope in America

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Posted on June 16, 2014.

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オバマ米大統領が最近、陸軍士官学校の卒業式で行った外交政策の演説でやっぱり、と思った。

 大統領は「米国は核心的利益が求めるとき-国民が脅かされ…同盟諸国の安全保障が危ういとき-必要なら単独で武力を行使する」と同盟国の安全も守ると言明した。

 一方で、「地域の侵略が野放しになれば-ウクライナ南部であれ南シナ海であれ…結局、同盟諸国に衝撃を与え米軍を巻き込みかねない」との懸念も示したのである。

 「オバマ氏は米国が…国際危機の泥沼に巻き込まれるのは避けるべきだとの確信を強めている」。米紙ニューヨーク・タイムズ国際版に載った演説解説の一節である。

 氏の考え方はアフガニスタン、イラクと「2つの戦争」を経て厭戦(えんせん)気分が覆う米社会も反映している。そんな内向き米国が危機の発火点になると案じるのが尖閣諸島だ。

 尖閣について、オバマ氏は4月の日米首脳共同記者会見で、米大統領として初めて「日米安保条約第5条の適用対象」と宣言した。

 が、同じ会見で「中国が諸島に何らかの軍事侵攻をしたら、米国は諸島を守るため武力行使を検討するのか」という米人記者の質問には直接答えず、「日中の対話と信頼醸成」を強調するにとどまった。

 石破茂自民党幹事長は近著『日本人のための「集団的自衛権」入門』で、「日本有事の際には常にアメリカを『巻き込む』という積極的な発想こそが必要」と唱える。

 尖閣に関しては特に、時代は今、「米国が巻き込まれ論で日本が巻き込み論」のようにみえる。

 先の質問の仮定が小規模で現実化し、防戦する自衛隊を米軍が直接支援するか否かはともかく、そうした事態を抑止するためにも米国を「巻き込む」ことは不可欠だ。

 それなのに、集団的自衛権の行使容認に対し60年安保時の巻き込まれ論風の批判が喧(かまびす)しい。半世紀もの時代遅れにただ呆然(ぼうぜん)である。(論説副委員長 西田令一)

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