Damage to Tuna Fishing Boats: US Navy Should Face Issue with Sincerity

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マグロ漁船被害 米軍は真摯に向き合え

2014年6月10日

 県内のマグロ漁船のはえ縄が5月中旬から沖縄本島近海で相次いで切断された問題で、米海軍は米海軍音響測定艦インペッカブルの関与が疑われていることについて初めて見解を示した。

 測量艦の関与をはっきりは認めず「漁業者の被害について把握している」などと曖昧に答えている。目撃情報から同艦が関与した蓋然(がいぜん)性が高い。非を認めない米軍の対応は不誠実だ。米軍は、事実関係の解明に全面的に協力すべきだ。

 この問題ではこれまで、県や県漁業協同組合連合会が沖縄防衛局を通して米軍に事実関係を照会していた。本紙の7日付報道では、被害に遭った漁船の船長がはえ縄が仕掛けられた海中の真上をインペッカブルが何度も航行していた事実を明らかにしていた。

 船長らは、船体から約800メートル離れた場所を航行するインペッカブルの写真なども撮影していた。写真からは、インペッカブルがケーブルを海中に垂らしているのがはっきりと確認できる。米艦関与の「動かぬ証拠」であり、言い逃れができるはずない。

 漁船の船長は、インペッカブルが「はえ縄を仕掛けた上を何度も往復していた。回収したら枝縄が切断されていた」と証言している。

 漁船の中には、インペッカブルのケーブルがはえ縄を引っ掛けたまま航行したことで船体が引きずられ、バランスを崩し、はえ縄を投棄したとみられる事例もあるという。事実なら転覆につながりかねない極めて危険な状況だった。

 インペッカブルは低周波ソナー(音波探知機)を海中に沈めてえい航しながら潜水艦の捜索、探知を行う。近年、活動範囲を広げる中国艦艇への警戒を強めているとされるが、それが民間人の命を脅かしたり、経済活動を妨げたりすることなど断じて許されない。

 今回の漁船被害の場所は本島南西約110キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内とみられる。米側は日本の領海内ではない場合には、賠償の必要があったとしても米国内法が適用されると認識しているようだ。日本政府は傍観するのではなく、米軍と漁業者を積極的に仲介すべきだ。

 マグロ漁期は4~6月に限られ、高額なはえ縄切断の被害は深刻だ。昨年も九州の漁船が被害に遭っている。日本政府は過去の被害も含めて実態を解明し、補償するよう米側に強く申し入れるべきだ。

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