US Consul General’s Remark: Glimpses of an Occupier Mindset

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<社説>米総領事発言 占領者意識が見え隠れする

 アルフレッド・マグルビー在沖米総領事の口から、看過できない発言が飛び出した。米外交官らの間で今なお沖縄に対する根深い占領者意識があるのではないか。

 マグルビー氏は、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する海外有識者らの声明に賛同する署名を提出するため訪れた、平和団体ピース・フィロソフィーセンター(カナダ)の乗松聡子代表らに対して「沖縄で(基地の)反対運動する人たちはゼロか100かで、生産的な対話ができない」と発言したという。

 その認識はおかしい。多くの県民が願うのは、国土の0・6%に在日米軍専用施設の約74%が集中する差別的な基地負担の一日も早い解消だ。それを強制している側が、抵抗する市民に「考えを改めよ」と言う。筋違いも甚だしい。

 焦点の普天間問題では移設に伴う機能強化が懸念され、ジュゴンがすむ豊かな海を埋め立てる計画に県民の約8割が反対している。軍事的役割が低下している海兵隊の駐留にも多くが反対しているが、沖縄はその他にも極東最大の空軍基地をはじめ海軍、陸軍の数多くの施設を抱えている。さらに空や海に広大な訓練区域がある。

 これらのうちの普天間基地返還やオスプレイ配備の撤回を県民が求めるのは、ほんのささやかな願いにすぎないではないか。それを過大な要求であるかのように言いはやすのは、悪質な印象操作だ。

 マグルビー氏は「県や名護市は国防に協力すべきだ」とも述べている。負担を強いる側がその重荷に苦しむ人々に、もっと協力せよと求めている。これでは圧政で支配した復帰前の米高等弁務官と目線が変わらないではないか。

 マグルビー氏は2年前の就任後初の記者会見で普天間飛行場に関し「特に危険だという認識はない」と発言し、その後に陳謝していた。今回の発言の背景には移設停滞へのいら立ちなどがあろうが、だとしても許される話ではない。

 2代前のケビン・メア氏は「沖縄はごまかしとゆすりの名人」などと差別的発言をした。こうした認識は対日政策を担う米高官らに共通しているのかと深く憂慮せざるを得ない。

 自由と民主主義、人権尊重を訴える大国の外交官としての役割を自覚してもらいたい。偏見を排し、県民が何を望むのか、虚心坦懐(たんかい)に耳を傾け、本国に正確な情報を伝えることがその職責であるはずだ。

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