Gaza Ceasefire Comes into Effect: A Future without Fighting for the Children

<--

 いつ果てるともない消耗戦の様相を呈していた戦闘にようやく区切りが付いた。

 イスラエルとハマスによるパレスチナ自治区ガザでの無期限停戦合意が発効した。50日に及んだ戦闘でガザ側の死者は2100人以上、イスラエル側も70人に達した。子どもの遺体を抱いて嘆く住民の姿が目に焼き付いている。

 子どもたちの命を犠牲にしてでも得るべきものなど何もないはずだ。合意を受けガザの住民が「もう誰も死なない」と喜ぶ姿を見ると、停戦の永続を願わずにいられない。ガザの希望である子どもたちが二度と戦争を経験しないで済むよう、双方は真摯(しんし)な交渉で平和を樹立してほしい。

 6月にユダヤ人少年3人が殺害された遺体が見つかったのが発端だった。イスラエルがハマス摘発を強め、ガザからイスラエルへのロケット弾が急増すると、逆にイスラエル軍は圧倒的な砲撃をガザに加え、地上でも侵攻した。ガザ側の負傷者は1万1千人以上、家を失った住民は47万5千人に及ぶ。

 ここに至るまで停戦と停戦崩壊の繰り返しだった。7月末には米国と国連が仲介して一時停戦に合意したが、わずか数時間で崩壊。8月5日からの一時停戦も3日間で終わり、戦闘が再開した。ハマスに近いとされるカタールやトルコの調停も不調に終わった。今回、エジプトの仲介でようやく合意にこぎ着けた。

 米国と国連の影響力が薄れ、エジプト頼みの現状を露呈した。そのエジプトも、ハマスと良好な関係を持っていた前大統領を追放して成立した現政権はイスラエル寄りで、当初の調停は失敗だった。今回も、双方の要求を棚上げにした暫定的な合意にすぎず、薄氷の上に立つ危うい合意である。

 ハマスは外部とのつながりを求めて空港・港湾の建設を要求している。一方、イスラエルは「長期間の平穏」を求めてガザの非武装化を主張する。どちらもめどは立っていない。

 抜本解決には程遠く、国際社会の調停機能回復は急務だ。機能を失った現状を直視し、斬新なアプローチを模索すべきだ。

 日本も座視してはならない。中東、イスラエルの双方と良好な関係を持ち、かつ一定の距離がある日本は本来、調停役になり得たはずだ。誠実な態度で双方の要求を粘り強く仲介していい。それこそが「積極的平和主義」ではないか。

About this publication