Ukraine’s Ceasefire: Europe and the US Should Not Ease the Pressure off Russia

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ウクライナ停戦 米欧は対露圧力緩めるな

ウクライナ東部で戦闘を続けてきた同国政府と親ロシア派武装勢力が停戦で合意した。

ウクライナからの分離独立などを求める親露派は、ロシアの武器、兵力支援を得て政府軍の鎮圧作戦に抵抗し、約5カ月で民間人を含め2500人余が死亡した。

これ以上犠牲者を出さないためにも、双方は停戦を順守し、その間に最終的な政治解決を目指さなければならない。

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議はウクライナ情勢をにらんで緊急展開部隊創設を決め、対露経済制裁に支持を表明した。

部隊は数千人規模で、同様にロシア系を抱えるバルト三国や、ポーランドなどにロシアが万一、軍事介入してくるような事態に2日以内で展開が可能だ。プーチン露政権への軍事圧力として働く。

首脳会議に結集した米欧諸国は軍事、制裁の2つの圧力を強め、親露派を武装解除し、ウクライナ東南部に侵攻したロシア軍を撤退へ追い込んでもらいたい。

制裁の実施主体である欧州連合(EU)、そして米国は対露追加制裁の準備を整えている。停戦合意により一時見合わせても、発動の構えは継続すべきだ。

今回の合意は、親露派がロシア提供の高性能兵器を大量に保持したままで、露軍もウクライナ進駐を続ける中での停戦である。

ウクライナのポロシェンコ大統領は「流血を止めるため、できることを全てしなければならない」と述べた。ロシアからの強力な親露派支援で形勢不利に立たされたウクライナ側としては、プーチン氏主導の停戦提案をのまざるを得なかったといえる。

ロシアと親露派に有利な現状の固定化を許してはならない。

そのため、合意にうたわれた欧州安保協力機構(OSCE)の停戦監視の下で、親露派の武装解除と露軍の撤退に加え、ロシアから親露派への武器、資金流入の停止を実現してほしい。

同時に、やはり合意された東部2州での地方分権の推進などをウクライナ政府と親露派、ロシア、OSCEなどが協議しなくてはならない。停戦はそうした政治決着への一歩にすぎない。

NATOは冷戦期、旧ソ連の脅威に対抗し西側の集団防衛に当たった。継承国ロシアのウクライナ侵略で、原点回帰を迫られた米欧同盟はその真価が問われる。

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