エボラ対策 国内もしっかりと
米国とスペインの国内で、エボラ出血熱の患者の治療にあたっていた看護師の感染が判明した。西アフリカの流行国以外でもエボラ出血熱の感染リスクが顕在化し始めた兆しと受け取れる。
西アフリカの国々への渡航者が少ない日本は欧米に比べリスクは小さい。しかし治療経験のある医師は限られる。医療従事者を対象に必要な知識を伝え訓練するなど国内の備えが欠かせない。
エボラ出血熱はギニアやリベリアなどで流行の拡大に歯止めがかからず、死者は4千人を超えた。1カ月で倍増する勢いだ。医療スタッフや資材が足りず十分な対策が打てていないからだ。
このままだと、西アフリカの外へ感染が広がり「世界はエボラウイルスと永遠に共生しなくてはならなくなる」と国連は警告、加盟国に重ねて支援を要請している。
日本は世界保健機関(WHO)を通じて医師を現地に派遣し、資金も提供してきた。さらなる支援が必要な情勢だ。
エボラ出血熱は患者の体液を介して感染する。飛沫感染のインフルエンザなどと比べてうつりにくい病気といえる。ただ患者に接する医療従事者のリスクは大きい。
米国ではリベリアからの入国者がテキサス州ダラスで発症し病院で亡くなった。病院では防護衣の着用など対策を講じていたにもかかわらず看護師1人が感染した。
米疾病対策センター(CDC)などは対策に見落としがなかったかを点検しており、感染の広がりを防ぐのに懸命だ。主要空港の検疫も強化している。
日本政府も流行国を訪れた人に対し空港の検疫所に必ず申し出るよう求め、検疫態勢を強めているが、水際で食い止められるとは限らない。
国内の病院で感染者が見つかる事態も想定し、医師らが的確に判断ができるよう、迅速なウイルス検査の態勢なども整えておく必要がある。未承認の薬の使用条件なども事前に議論を進めておくのが望ましい。
Leave a Reply
You must be logged in to post a comment.