米中間選挙まで約3週間となり、上院の過半数を目指す野党共和党は「2つの恐怖」を争点に掲げ始めた。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の脅威と、エボラ出血熱の感染問題だ。感染問題では、オバマ大統領や与党民主党の対応の遅れを批判している。
「エボラ出血熱を軽視し、大した問題ではないように行動してきたのは間違いだった。(感染が)制御不能になる可能性がある」
次期大統領選で共和党の候補の一人とされるランド・ポール上院議員(非改選)は最近、保守系ラジオ番組でこう語った。エボラ出血熱対策を強化するため西アフリカに派遣する3千人規模(最大4千人)の米軍に関しても、帰国の際に艦内で感染が拡大する事態への懸念を表明し、政権の判断に疑問を呈した。
テキサス州の病院でリベリア人男性がエボラ出血熱で死亡したことを受け、共和党の中には、不法移民問題と西アフリカからのエボラ出血熱の感染を結びつけて論じる候補者まで出てきている。
接戦州の共和党上院議員候補はこのところ、米情報機関がイスラム国の脅威を過小評価していたと認めたオバマ氏の発言をテレビCMで取り上げている。リベリア人男性の治療に関わった看護師の女性が感染したことが確認されたことで、エボラ出血熱もオバマ政権の「見通しの甘さ」の追及材料となりそうだ。
米世論調査会社ギャラップが13日発表した調査によると、有権者が中間選挙で重視する課題は経済、雇用に続き「連邦政府の機能の仕方」「イスラム国」が上位を占めた。いずれも共和党に有利に働く課題との結果が出ている。共和党はオバマ政権の機能不全を示す格好の例として、イスラム国やエボラ出血熱をとらえている。
ただ、共和党にも“弱み”はある。連邦政府の歳出削減を進めてきたため、これがアキレス腱(けん)になる可能性もあるからだ。
エボラ出血熱のワクチン開発を進めてきた米国立衛生研究所(NIH)のコリンズ所長は10日、米ネットニュースのハフィントン・ポストに「ここ10年の研究支援の減少がなければワクチンの臨床試験が終わり、準備が完了していたかもしれない」と語った。民主党系団体は関連予算を抑制してきたとして、共和党を非難するCMを発表した。
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