Toward a New Defense Policy: New US Secretary of Defense

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米国防長官指名 大胆な安保政策の遂行を

 事実上更迭されたヘーゲル米国防長官の後任長官に、カーター前国防副長官が指名された。国防畑の実務派を起用した手堅い人事であり、上院で承認される見通しだ。

 カーター氏には、オバマ政権の残り任期2年をただそつなくこなすのではなく、中間選挙での与党大敗に表れた外交・安全保障政策への不信を拭い去る大胆な政策遂行を望みたい。

 そのためにも、オバマ氏がホワイトハウス中心の側近政治から脱却することは欠かせない。

 世界では今、3つの危機が進行している。シリアからイラクに延びるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の支配、ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略、東シナ、南シナ両海への中国の無法な海洋進出である。

 いずれも、戦後国際秩序に挑戦する力による現状変更ないしはその試みであり、オバマ政権が内向きになり米軍事圧力が後退した隙を狙うように起きている。

 カーター氏の使命は、米国による安全保障をこれ以上漂流させないことである。中でもイスラム国掃討戦略の確立は急務だ。

 米国率いる有志国で空爆し米軍事顧問団を逐次投入するのみで、イスラム国を崩壊に追い込む抜本的な構想は描けていない。

安全保障の軸足を中国牽制(けんせい)へと移すアジア重視政策も道半ばだ。カーター氏には、その要となる日米同盟のよき理解者だったヘーゲル氏の姿勢を継いでほしい。

 氏の政策、組織運営が政権内外から批判を招いたのは確かだ。だが、1つの政権で国防長官が4人目というのはどうにも異様だ。

 去った者たちが異口同音に、ホワイトハウスの「奥の院」から箸の上げ下げまで指図してくるような、過剰管理を非難している。次期長官の下馬評に上がった人たちが指名を固辞したのも、それを嫌ってのことという。

 個人的関係が薄い外様長官の首だけをすげ替え、元凶の側近たちが残るのでは、選挙結果が求めた外交安保チーム刷新へのオバマ氏の意思が疑われる。長官交代を機に、せめて衆議を決して政策を行う方式に転換してもらいたい。

 日本も衆院選が終わり次第、米軍普天間飛行場の移設、日米防衛協力指針(ガイドライン)の見直しを推進して同盟を強化していき、「カーター国防総省」を後押ししなければならない。

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