Obama’s State of the Union Address: Writing a Bright Final Chapter

 

 

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オバマ一般教書 明るい最終章記すには

 残り任期二年、オバマ米大統領が一般教書演説を行った。ここ数年「内向き」傾向が顕著だった年初の演説。今年は「米国の新たな章」を開く気概すら語られたが、その実現は容易ではあるまい。

 「危機の影は去った。国は強固な状態にある」「国の新しい基礎は築けた。共に明るい将来を記していこう」

 残り任期の二年間で政権のレームダック(死に体)化が進むと報じられる中、上下両院の多数を占める野党共和党に正面から譲歩を迫る強気の演説だった。

 その大きな根拠は好調な経済諸指標にある。昨年の新規創出雇用は二百九十万人に達し、一九九九年以来最高となった。就任時10%と史上最悪レベルだった失業率は5・6%まで改善した。株式市場は好調を維持している。経済危機の象徴だった自動車産業の復活も自信回復に寄与しただろう。

 オバマ氏は、適正な規制によって一部の富裕層ではなく大多数の中間層を重視した自らの政策の正しさを示すものと自負し、医療保険改革法(オバマケア)による新規保険加入者が一千万人を超えたこともその成果と強調。今後も中間層を対象にきめ細かい教育、社会政策を継続する考えを示した。

 外交政策については、軍事力一辺倒ではなく「軍事力と外交力の結合」によるスマートな外交こそ米国の信条と強調。国際的緊急課題のイスラムテロについて「パキスタンからパリまで、われわれはテロ被害者の側に立つ」と、国際社会と共に非道なテロ行為に一層厳しく対応する姿勢を示した。

 昨秋の中間選挙以来、内外諸政策で攻勢に出ているオバマ氏である。キューバとの国交正常化を打ち出した昨年末以来、各種世論調査の支持率が上昇し、ワシントン・ポスト紙では50%を回復した。

 高い支持率を背景に政策を直接国民に訴えて議論の主導権を確保し、共和党に譲歩を迫る初期の手法をいま一度、といった思いが伝わる。これが、国際社会の協調促進、対テロ連携強化につながるのなら歓迎である。

 しかし、思惑通りに運ぶのか、見通しは明るくない。共和党が重視する大規模パイプライン計画、移民政策、オバマケア撤回などをめぐる攻防はこれからだ。

 オバマ氏が「共に記していこう」と共和党に呼びかけた政権の最終章が明るいものになるのか。民主党、共和党を問わず、自らの従来の考え方を超えることができるか否かにかかっている。

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