社説[米軍幹部暴言]沖縄は「軍事植民地」か
2015年2月15日 05:30
基地をめぐる最近の動きは異常である。米軍機からの部品落下、米兵による飲酒がらみの不祥事、米軍幹部の暴言…。名護市辺野古では埋め立て工事が強行され、けが人や逮捕者が相次いでいる。埋め立て工事がさらに進めば、事態はもっと深刻さを増していくだろう。ゆゆしい事態だ。
その背景にあるのは、日米両政府に見られる二重基準の存在である。ここでいう二重基準とは、米本土、日本本土で沖縄と同じようなことが起きたとき、両国の政府は果たしてその状況を許容できるのか、という問題だ。
嘉手納基地所属の米海軍電子偵察機EP3が飛行中、「アクセル・パネル」と呼ばれる約227グラムの金属製部品を落としていたことが13日、明らかになった。米軍機からの部品落下事故は今年に入って早くも4件目。異常なペースである。
米軍は昨年12月、軍構成員の基地の外での飲酒制限を大幅に緩和したが、そのとたんに道交法違反(酒気帯び運転)や住居侵入などが相次いだ。逮捕された米兵は今年に入って早くも6人(1月26日現在)を数える。たがが緩んでいるとしか思えない。
しかし、もっと深刻なのは、米軍幹部による偏見に満ちた発言や暴言が相次いでいることである。
在沖米海兵隊の現職の大尉は、辺野古への新基地建設に抗議する市民にけが人が相次いでいることについて「けがをしたように見せる姿は、実際に見ると茶番だ」と、新基地建設に反対する市民を冷笑する電子メールを英国人ジャーナリストに送っていた。
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報道部次長という要職にありながら、各種選挙で示された沖縄の多数の声には耳をふさぎ、目をつぶり、偏見に満ちた表現で反対行動を侮るのは、報道部次長としては完全に失格だ。
米軍北部訓練場の現職の司令官(海兵隊少佐)は、東村高江周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対して座り込み行動を続けている住民について「東京の共産党かNPOからか分からないが、お金をもらっている」と、基地問題研究のため滞在中のストックホルム大学の大学院生に発言した。
昨年の知事選にも触れ、「共産党が連立与党をつくって仲井真(前知事)の議席を奪うことができるのは民主主義の表れだが、民主主義を支持しない共産党がそれを達成できたのは面白い」とも語ったという。共産党から金をもらっているというのも共産党が民主主義を支持しないというのも誤解である。
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インターネット上に飛びかっている誤った情報や偏見に満ちた考えを自分の都合のいいように利用し反対派を批判している気配が感じられるが、こうした発言は極めて重大な問題をはらんでいる。
現職の米軍幹部が、誤った情報をもとに沖縄の政治状況を論評し、憲法で保障された県民の正当な意思表示を批判するのは、軍人としての本務を逸脱した越権行為である。
沖縄にだけ困難を押しつける二重基準を両政府は直ちに解消しなければならない。
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