US Military Detains Okinawans: Impermissible Denial of Democracy

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米国防総省高官が在沖米軍幹部に対し、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に設置された市民のテント撤去と基地内への立ち入り防止を指示していたことが分かった。

 新基地建設への抗議運動を力で抑えようとすることに米政府が関わったということだ。軍の暴走ではなく、米政府が指示していたということは、民主主義の面から大きな問題をはらむ。看過することはできない。

 自らの意見や主張を表明する権利を保障する「表現の自由」は民主主義の根幹をなす。たとえ政府を批判する意見であっても、尊重されてこその民主主義である。米政府がその精神を知らないはずはなかろう。

 ところが、米政府は軍を使って沖縄で「表現の自由」を公然と侵害した。民主主義の否定であり、民主主義国家としてあるまじき行為である。許されるものではない。

 国防総省は、山城博治沖縄平和運動センター議長らを米軍が拘束したのは「地元のレベルで判断されたもの」とした。責任を押し付けられた海兵隊は「逮捕したのは日本人警備員だ。海兵隊は警察に身柄を引き渡すまでの間、拘留しただけだ」とした。無責任体質は深刻だと言わざるを得ない。

 いずれにせよ、基地に立ち入る意思のない人に襲いかかり、足をつかまえて20~30メートルも引きずる行為は重大な人権侵害である。米国の民主主義は崩れ始めてはいまいか。

 国防総省高官は「保安上の問題」をテント撤去指示などの理由にした。抗議運動は今後も続く。保安上問題があるならば、米軍が本国に戻ることしか解決策はない。

 復帰後も米軍の横暴さは何ら変わっていない。沖縄で米軍基地に対する反対運動が弾圧され続けている状況は異常である。今も沖縄を占領する支配者であるとのおごりが米軍の姿勢に現れている。それを放置する安倍晋三首相は主権国家のリーダーといえるだろうか。

 この間、見えてきたのは米政府の機嫌を取る日本政府の卑屈な姿である。日本側の対応にいら立つ米政府高官の指示で、在日米軍が日本にテント撤去などを求め、日本側はそれに従ったという構図だ。

 日本政府は米政府の言いなりになることをやめ、米国の属国意識から抜け出すべきである。それが実現しない限り、沖縄は基地被害を受け続けることになる。

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