<社説>辺野古抗議集会 理不尽逮捕 反基地さらに
2015年2月23日
豊かな自然を壊し、沖縄の民意を無視した米軍基地の新設に対する県民の拒否の意思があらためて鮮明に示された。さらに、米軍が軍事最優先の牙をむき出しにして市民を拘束する異常事態が起き、新基地建設にあらがう民意の火に油を注いでいる。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設工事の強行に抗議する3度目の集会がキャンプ・シュワブ前で開かれ、幅広い年代層の約2800人が参加した。幼い子を抱いた若い夫婦や孫の手を引いたお年寄りの姿が目立った。
2014年の名護市長選、県知事選、衆院選で示された新基地反対の民意を一顧だにせず、海上作業を強行する安倍政権への怒りが噴き出し、米軍による理不尽な市民抑圧に対する憤りが充満した。
過剰な警備を指示し、巨大ブロックを投下してサンゴ礁を破壊している安倍政権は直ちに全ての移設作業を中止すべきだ。
海上保安官による女性への馬乗りなど、人権を脅かす警備に対する県民の反発が高まる中、集会の4時間前に抗議行動を指揮していた山城博治沖縄平和運動センター議長ら2人が基地ゲート前で身柄を拘束された。憲兵隊から身柄を引き継いだ名護署は基地に侵入したとして2人を逮捕した。
山城議長は一部市民と米軍側の警備員らのもみ合いを止めようとした際、数人がかりで足をつかまれて引きずられ、基地内へ連行された。進んで区域内に立ち入ったのではないことは明らかだ。
県民の抗議の拡大に危機感を強めた在沖米海兵隊は2日前に民間地域との境界線を引き直していた。境界線付近ではこれまでも市民と警備陣の衝突が頻発していたが、刑特法の発動はなかった。
制止に入った山城議長らを力ずくで拘束した米軍の行為は不当な狙い撃ちの疑念が拭えない。逮捕には無理がある。公判は維持できるのか。県警に釈放を求めたい。
今回の事態は抗議行動の高まりに業を煮やした海兵隊による県民敵視が一線を越え、自力で市民排除に乗り出した格好である。
安次富浩ヘリ基地反対協共同代表が「もう我慢の限界だ。全基地撤去を求める」と訴えたように、沖縄の反基地世論は臨界点に達しつつある。日米両政府が望む米軍基地の安定使用を自ら掘り崩す転機となるかもしれない。
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