Continue Efforts To Lower Tension in US-China Dialogue

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【米中の対話】緊張緩和へ努力を続けよ

 米中の高官らが2国間関係や世界的課題を協議した「戦略・経済対話」は、サイバー空間や海洋での中国の行動をめぐる協議が平行線に終わり、これといった成果を出せなかった。

 特に中国が南シナ海で岩礁の埋め立てを進めている問題は、両国の軍事的衝突に発展しかねない危うさをはらんでいる。両国は対話を続け緊張を緩和し、地域の安定を図る責任がある。

 米中戦略・経済対話は2009年以来、毎年開かれ、今回が7回目。多数の閣僚級が参加するだけに、貴重な対話の場となる。

 しかし両国間では南シナ海問題が最大の火種となっており、米国が中国に自制を求める構図が続いている。5月末のアジア安全保障会議では、大規模埋め立ての「即時中止」を求める米国に対し、中国が「軍事目的」に言及して突っぱねた。

 ワシントンで開かれた今回の対話に先立ち、中国は今月中旬、埋め立ての関連工事を「近く完了させる」と発表した。対立が先鋭化するのを避けるためとも思われたが、米国側は警戒を解いていなかった。

 米国は中国が埋め立てて造成した人工島を自国領として既成事実化するとみている。同じ疑念は日本も含め多くの国が抱いており、中国は批判に行動で応えなければならない立場だ。

 米政府に対するサイバー攻撃問題も、相互不信の大きな要因となっている。「中国政府傘下のハッカーたちによる侵入」とする米国側の見方に対し、中国は「原因は自国にない」と主張。戦略対話のサイバー作業部会も中断している。

 南シナ海やサイバー問題が、対話の大きな妨げになったのは事実だろう。オバマ大統領は自ら中国の代表団と異例の会談を持ち、これらの問題で「緊張を緩和する具体的な措置」を取るよう求めた。

 ただ両国は北朝鮮の核問題や地球温暖化への対応などでは、協力を進める姿勢だ。温室効果ガス排出1位の中国と2位の米国が、排出削減で歩調を合わせることは、世界の環境に好影響を与えよう。それでこそ「責任ある大国」といえる。

 9月には習近平国家主席の訪米も予定されている。あらゆる機会を通じて粘り強く対話を続け、南シナ海などの懸案事項も緊張緩和への糸口を見いだしてほしい。

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