US-China Relations: Affecting Asian Stability

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米国と中国-。世界経済1、2位を占め、軍事的にも強大な両国がどういう関係を築いていくのか。アジアの将来を左右する米中関係の行方は、まだ見通せない。

 米国のオバマ大統領と、訪米した中国の習近平国家主席が会談した。中国による南シナ海岩礁の埋め立てについては、オバマ氏が「重大な懸念」を伝えたが、習氏は「中国固有の領土だ」と正当化し、平行線をたどった。

 一方で、両政府は軍用機の偶発的な衝突を回避する措置で合意した。米国が強く問題視するサイバー分野では、双方が企業秘密などの窃盗行為はしないと確認した。

 米中両国とも「直ちに衝突するのは避けたいが、譲歩する気もない」という姿勢が鮮明になった。「協調」よりむしろ「対立」が目立つ会談だったと言える。

 近年、米中関係に関して「トゥキディデスのわな」という言葉が使われる。古代ギリシャの歴史家トゥキディデスの著述にちなみ「既存の大国と新興大国とは衝突する」という歴史の教訓を指す。

 今回の会談に関連してオバマ、習両氏がこの言葉を引用し、「トゥキディデスのわな」を回避する重要性を強調した。しかし、それは本当に大丈夫なのだろうか。

 冷戦下の米ソ関係と違い、米国と中国は経済的に密接に結びついており、本格的な衝突に至ればお互いに損をするという共通認識はある。その一方で中国が海洋進出などで示す強引な行動は、米国の不信を募らせている。

 米国の戦略は、協調と封じ込めを使い分けながら、中国を国際ルール順守の大国へと導くことだ。これに対し中国は米国に「新型の大国関係」を迫っている。言い換えれば「アジアでの中国の主導的立場を認めよ」という要求であり、米国はこの提案に否定的だ。

 両国が協調へ進むか、衝突に傾くかは、アジアの繁栄にとって重大な岐路となる。日本は米国と連携し、時に仲介役となって、安定的な米中関係構築を支援する必要がある。そのためにも、政府はまず日中関係の改善を急ぐべきだ。

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