US Gun Control: Take Steady Steps to Stricter Laws

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米国の銃規制  強化策を着実に進めよ

 オバマ米大統領が、インターネットを通じた銃売買に身元調査を義務付けるなど、大統領権限に基づく新たな銃規制強化策を発表した。銃規制が野党・共和党の反対で進まないことから、法整備を待たずに大統領権限で正面突破を図る姿勢を鮮明にしたといえる。

 共和党は権限乱用だとして反発しているが、米国では毎年、銃で約3万人が死亡するという異常な事態が続いている。規制の強化は当然の措置だろう。オバマ氏の姿勢を支持したい。

 新たな対策は、銃を販売する者に対して業態に関係なく免許取得と購入者に対する事前の身元調査を義務付けるのが柱だ。

 現在、店舗を持つ販売業者は免許を取得し、身元調査も実施しているが、インターネットや展示会を通した銃売買は個人的な取引として抜け穴になっているため、幅広く網をかけることにした。

 銃が製造業者から販売業者への受け渡しの過程で紛失した場合の届け出を義務化することや、身元調査強化に向けた連邦捜査局(FBI)の人員増強なども盛り込んでいる。

 法的な裏付けがないため実効性に不透明感もあるが、銃による犠牲を減らしていくには一歩でも前へ進めていくことが必要だ。

 米国では、銃犯罪が起きるたびに民主党などが銃規制を訴えてきた。だが、有力ロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)や共和党は、武器を持つ権利を国民に保障した合衆国憲法修正第2条を盾に規制に反対し、うやむやにされてきた。

 2012年12月に東部コネティカット州の小学校で26人が殺害された乱射事件を受け、オバマ政権は包括的な銃規制法制定に乗り出したが、これも頓挫した。

 NBCテレビの分析では、コネティカット州の事件から3年間に12歳未満の子どもだけでほぼ2日に1人が凶弾に倒れている計算になるという。こうした状況から最近は国民の間で規制を望む声が増えている。昨年10月に発表されたギャラップの世論調査では、規制強化が必要だと答えた米国民は55%にのぼり、1年間で8ポイント上昇した。

 今回の強化策は、銃を持つべきでない人が持たないようにするための最低限の規制にすぎない。昨年12月にカリフォルニア州で起きた銃乱射事件のように銃がテロと結びつく懸念も強まっている。悲劇の芽を摘むために、国民の理解を広げつつ、着実に対策を進めなければならない。

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