Presidential Candidate Clinton: Can She Shatter the Current Government?

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クリントン候補  既成政治打破できるか

 既成の「ワシントン政治」に反発する大きなうねりを、どう受け止めるのか。

 米大統領選の民主党候補に正式指名されたヒラリー・クリントン氏が背負った課題と言えよう。

 「政治革命」を掲げた上院議員バーニー・サンダース氏に思わぬ苦戦を強いられた。格差が根付いた米社会に不満を募らせる若者らが中心となってサンダース氏を押し上げたと言われている。

 クリントン氏は、予備選で亀裂が生じた民主党支持者を再結束させるためにも、サンダース氏の主張をくみ取る必要がある。

 クリントン氏は大統領夫人、上院議員、国務長官を歴任し、サンダース氏支持層からは富裕層や大企業寄りの既成政治を体現するように見られている。そうしたイメージを打破できるのか、が突きつけられているのである。

 公約となる党政策綱領を見れば分かる。格差是正のためにウォール街の貪欲と戦い、金融取引税を導入。最低賃金のアップ、公立2年制大学の授業料無償化などは、サンダース氏の主張を反映したものだろう。

 さらに銃規制の強化やクリーンエネルギーの発電比率を50%に引き上げるなどの政策を掲げ、サンダース氏から「最も進歩的」との評価を引き出してもいる。

 一方で目立つのは、共和党候補のドナルド・トランプ氏への対抗姿勢だ。差別撤廃を訴え、メキシコ国境の壁を拒否している。極端な内向き外交について北大西洋条約機構(NATO)の同盟関係放棄を否定し、アジア太平洋での日本、オーストラリア、タイなどとの関係強化を表明する。

 日本との関係では、トランプ氏が見直しを公言する安全保障に関して「歴史的な責務を果たす」と特筆して、違いを鮮明にした。

 懸案の環太平洋連携協定(TPP)は正否をはっきりさせなかった。雇用や賃金の上昇、安全保障に資さない貿易協定には反対とした点では、トランプ陣営との距離はさほどないようにみえる。

 大統領選は、トランプ氏の過激・排他性と、クリントン氏のリベラル・多様性の両極に分かれたと言えよう。そうしたことより、見過ごしてはいけないのは、民主と共和の二大政党が多様な市民の声をすくい切れず、社会に大きな亀裂が生じていることだろう。

 予備選で大きな力となった既成政治への反発は、本選でどんな動きを見せるのか。米国の大きな分岐点になるかもしれない。

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