The US and ‘No First Use’ of Nuclear Weapons: Providing Support as a Nuclear Victim Nation

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米の核先制不使用 被爆国として後押しを

最大の核兵器保有国である米国が、核の「先制不使用」を宣言するかどうか。オバマ大統領の決断に世界が注目している。

 敵の核攻撃を受けない限り核を使わないというのが先制不使用政策である。歴代米政権はこれを採用しない立場を堅持してきた。決定すれば大きな方針転換となる。

 唯一の被爆国として核兵器の廃絶を訴えている日本とすれば、その実現につながる政策は歓迎すべきことである。

 しかし、安全保障を米国の「核の傘」に依存する日本政府は後ろ向きのようだ。安倍晋三首相は否定したが、米有力紙は、首相が米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えたと報じた。

 オバマ政権内でも反対意見が強く、決定は見送られるとの見方もある。そうした状況だからこそ、日本は率先して米国に政策変更を促すべきではないか。被爆国の姿勢が問われている。

 これまで米国が先制不使用政策を取ってこなかったのは、核の傘が無力化し、抑止力が弱まって紛争リスクが高まるといった理由からである。「先に核兵器を使うかもしれないと思わせることで、抑止効果が保てる」というわけだ。

 核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威にさらされている日本、韓国や、ロシアの核と向き合う欧州の米同盟国が否定的なのも、抑止力の低下を懸念するためだろう。

 だが、米国は核を使った相手を壊滅する報復力を持っており、それを恐れる相手が先制使用することはないと指摘する米国の専門家もいる。

 先制不使用政策は、偶発的に核戦争が起きるのを防ぐことにもなる。

 中国が既に宣言しているが、全核保有国が宣言すべきであり、米国が決定する意義は計り知れない。

 川口順子元外相らアジア太平洋地域の元閣僚や軍高官など40人が今月、連名で出した声明は、オバマ政権に先制不使用の採用を強く促した。

 先制不使用は「リスクの高い」現行の核運用政策の変更を後押しすると評価し、全ての保有国が採用すれば「核を制限する世界的体制の中核となり得る」と訴えている。これを支持したい。

 「核兵器なき世界」を提唱するオバマ氏は2010年、核拡散防止条約(NPT)を順守している非核国には核攻撃を行わないとする「核体制の見直し」を表明した。

 核兵器の役割を限定したもので、先制不使用を宣言すれば、さらに低減させることになる。今年5月、現職米大統領として初めて被爆地・広島を訪れ、「核兵器なき世界」への決意を新たにしたオバマ氏の判断に期待したい。

 広島訪問に同行し「悲惨な経験を繰り返させてはならない」と述べた安倍首相には、オバマ氏の背中を押してもらいたい。それが、核廃絶を願う人々の思いに応える被爆国の使命である。

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