The US Presidential Election: A Mudslinging Contest to the End?

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米大統領選 最後まで泥仕合なのか

 米大統領選が11月8日の投票日に向けて最終盤を迎えている。

 民主党のクリントン氏と共和党のトランプ氏は計3回の討論会を終えた。非難の応酬ばかりが目立ち、政策論議は深まらなかった。米外交の展望を知りたい国際社会の期待を裏切る結果である。

 特にトランプ氏には失望した。

 最近は女性蔑視発言やセクハラ疑惑が明らかになり、劣勢に立たされている。批判をそらすためか、選挙の不正を訴え、最後の討論会では敗北しても選挙結果を受け入れない可能性すら示唆した。

 明確な根拠など示しておらず、前代未聞の事態である。

 討論会での優劣は鮮明になったが、世界で最も影響力を持つ指導者の選挙だ。米国民はこのことを忘れず投票に臨んでほしい。

 トランプ氏は討論会で、数百万人の不正な有権者登録が行われていると主張した。選挙自体の信用性を疑わせようとする発言は、民主主義の否定と受け止められても仕方ない。

 外交でもトランプ氏は、米国は日本や韓国などを防衛する財政的余裕はなく、負担について再交渉が必要との持論を繰り返した。

 相変わらず乱暴な発言である。在日米軍駐留経費について、日本が「思いやり予算」として日米地位協定の枠を超えて支払っている事実や、沖縄への過重な基地負担を顧みようとしない。

 不法移民対策としてメキシコとの国境に壁を造るといった過激な主張も従来通りだ。最後まで国際社会のけん引役としてふさわしい政策を語ることはなかった。

 一方、オバマ政権のアジア重視政策を継承し、日韓などとの関係強化を訴えるクリントン氏には安定感がある。それなのに相手の失策をなかなか支持率向上に結びつけられないでいる。

 国務長官時代、私用メールを公務で使った問題や環太平洋連携協定(TPP)を推進しながら反対に転じたことが批判されている。

 だが、それ以上に問題なのは、既得権益層の代表と見られていることを払拭(ふっしょく)できない点にある。

 トランプ氏が予備選を勝ち上がったのも、格差を拡大し、不公正な社会をつくった「ワシントン政治」の打破を訴えたからだ。

 クリントン氏は「私は民主党、共和党、無党派を問わず、全ての米国人に近づく努力をする」と述べ、討論会を締めくくった。

 そのために外交・内政で何をするのか、さらに詳しく述べてほしい。泥仕合は終わりにすべきだ。

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