Abe’s Pearl Harbor Tribute Shows the World Results of US-Japan Reconciliation

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安倍晋三首相が今月26、27日に米国ハワイを訪れ、オバマ大統領と会談するとともに、日米開戦の発端となった真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊することが決まった。

 日本の現職の首相が、真珠湾を公式に訪問するのは初めてだ。日米開戦から75年となる今年、ようやく実現の運びとなった。

 今年5月、オバマ大統領が現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪問した。首相の真珠湾訪問の意味は、オバマ氏の広島訪問と合わせて考えたい。

 日米両国は戦後長い間、戦争で生じた傷を癒やし、相手への不信を乗り越えて、未来志向の協力関係を築く努力を続けてきた。

 両国の指導者が戦争の始まりと終わりを象徴する場所で慰霊することは、そうした努力の到達点と位置付けられ、極めて意義深い。戦火を交えた二つの国が歴史的な和解へ至る成果を、モデルとして世界に発信する効果も大きい。

 米国では11月の大統領選で共和党のトランプ氏が当選し、来年1月の新政権発足に向けて政権移行期にある。日米同盟を「不公平」と評するトランプ氏が、これまでの政権のように日米関係を重視するとは限らない。

 この時期に安倍首相が真珠湾を訪問するのは、トランプ新政権が始動する前に、両国の絆の強さを米国民に印象付け、日米関係を安定させる狙いもあるだ

ろう。

 米国では原爆投下を「戦争終結に必要だった」とする世論が根強い。オバマ氏の広島訪問は国内から反発を受けるリスクを背負っての決断だった。日本国内にも先の戦争を巡るさまざまな評価がある中で慎重に手順を踏み、事実上の相互訪問の実現にこぎ着けた安倍政権の外交努力を評価したい。

 首相は真珠湾での慰霊に伴い、何らかのメッセージを発することになりそうだ。首相は、かつての日本の指導部が戦争という最悪の選択をした歴史の事実を正面から見据え、その反省を率直に語ってほしい。そうであってこそ、「二度と戦争の惨禍を繰り返さない」という誓いは説得力を持つ。

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