トランプ政権半年 輝き失い孤立化する米国
トランプ米大統領が就任して半年が経過した。「米国を再び偉大にする」と訴えて当選したトランプ氏だが、任期最初の半年を見る限り、国際社会における米国の存在感はむしろ低下している。
トランプ氏の重要公約のうち、医療保険制度改革(オバマケア)見直しやメキシコ国境の壁建設など国内政策は、議会の反対などで実現のめどが立っていない。
一方、実行したのは地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」からの離脱と、環太平洋連携協定(TPP)脱退である。いずれも「決まっていたものをほごにする」という行為で、米国の身勝手さを国際社会に印象付けた。
外交では手詰まり感が漂う。対北朝鮮制裁で協力を求めて中国に歩み寄ったものの、期待したほどの圧力がかからず、最近ではいら立ちをあらわにしている。
トランプ氏はオバマ前政権の政治的遺産を否定するのにはとりわけ熱心だ。政権交代すれば政策転換は付きものではある。問題なのは、それに代わる新たな秩序や枠組みづくりの構想が、半年たっても見えてこないことだ。
これでは、欧州や日本など先進民主主義諸国にとって、従来のように米国を中心とした国際秩序を形成していくことが困難になる。米調査機関が37カ国で実施した調査では、トランプ政権発足後「米大統領に対する信頼度」は各国で急降下した。米国は「世界のリーダー」の輝きを失いつつある。
国際社会は既に、米国の指導力を期待せず、米国抜きで枠組みの構築に取り組み始めた。20カ国・地域(G20)首脳会合では米国以外の首脳が「パリ協定」の早期実施に決意を示し、TPPの参加国は米国を除く11カ国での発効を目指して協議を続けている。
トランプ政権はロシアゲート疑惑で大揺れだが、議会の勢力図を考えれば弾劾で失職する可能性は低い。トランプ氏が考え方や言動を変えずに4年の任期を全うするという前提で、孤立化する米国とどう付き合っていくのか、日本政府も真剣に考える時がきている。
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