北朝鮮の核・ミサイル開発を外交の力で止めることはできるのか。日米韓3カ国が国連総会の機会をとらえ、各国に北朝鮮への制裁強化を訴えている。軍事衝突という最悪の結果を避けるには、圧力を強めて危機を封じ込めるしか道はない。中国やロシアを含む国際社会の結束が問われている。
安倍晋三首相は21日、トランプ米大統領、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領とニューヨーク市内で約1時間会談した。
トランプ氏は北朝鮮と取引のある外国の金融機関や企業を対象とする新たな独自制裁に踏み切ると説明し、日韓両国は高く評価。3首脳は国連安全保障理事会が11日に採択した制裁決議の厳格な履行に向けて、関係国に力強く働きかけていく方針で一致した。
安倍首相はこれに先立つ20日の国連総会の一般討論演説でほとんどの時間を北朝鮮問題に割き、「脅威はかつてなく重大で差し迫ったものだ。必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調した。
だが北朝鮮は度重なる警告に耳を貸す気配がない。金正恩(キム・ジョンウン)委員長は21日、トランプ氏が国連演説で有事になれば北朝鮮を「完全に破壊する」と警告したのを受けて「史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に検討する」との声明を発表した。
北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相はニューヨークで記者団に「水爆実験を太平洋上ですることではないか」と語った。
蛮行をこれ以上続けさせるわけにはいかない。北朝鮮が核・ミサイル開発を中止しない場合は、石油の全面禁輸を含めたさらに厳しい制裁を検討する必要がある。中ロ両国は安保理の常任理事国として世界の平和を守る責任がある。日米韓3カ国は一枚岩で関係国の説得に全力をあげるべきだ。
北朝鮮問題は東アジアの局地的な脅威にとどまらない。核弾頭を積んだミサイルの実戦配備を許せば、米ロ英仏中の5大国にのみ核兵器保有を認める核不拡散体制はさらに有名無実化する。
国際ルールに従わない暴挙を繰り返す北朝鮮に有効な手段がとれないのなら、国連安保理は存在意義を問われる。
日米韓3カ国は国連の加盟国と危機感を広く共有し、北朝鮮を封じ込めるための行動を主導していく必要がある。核・ミサイル開発の進展度を踏まえれば、残された時間はあまりない。
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