ロシアゲート 捜査の突破口が開いた
ロシアゲート疑惑の捜査が新たな局面に入った。昨年の米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたマナフォート氏ら三人が起訴された。これを突破口に疑惑の徹底解明を期待したい。
マナフォート被告ら二人は千八百万ドル(約二十億円)以上のマネーロンダリング(資金洗浄)をはじめ脱税、偽証など十二の罪で起訴された。
起訴状によると、米当局に無届けのままウクライナのヤヌコビッチ前大統領ら親ロシア派勢力の代理人としてロビー活動を行い、数千万ドルの報酬を受け取った。
マナフォート被告がトランプ陣営に参画したのは半年ほどだが、こっそり外国のために働いていた人物が一時的にせよ、米国の最高指導者を選ぶ過程に関与したことになる。この事件は国家安全保障上の問題でもある。
一方、陣営の外交顧問だったパパドプロス被告は、ロシア当局につながりがあるといわれる「大学教授」と接触したが、その時期は外交顧問就任前だったと虚偽の証言をした。被告は罪を認めている。
ロシアゲートは(1)ロシアがトランプ大統領に有利になるよう大統領選に介入し、トランプ陣営もこれに結託していた疑惑(2)コミー連邦捜査局(FBI)長官を解任したトランプ氏の司法妨害疑惑(3)トランプ氏のロシアビジネスに絡む疑惑-に大別される。
三人の起訴は大統領選での結託疑惑に照準を合わせたものとみられるが、罪状は疑惑に直接かかわるものではない。起訴を糸口にモラー特別検察官率いる捜査陣が、三人から有力な証言を引き出し、核心に迫れるかがかぎだ。
トランプ氏はマナフォート被告の起訴内容についてツイッターで「彼が陣営に加わる何年も前のことだ」と批判した。
しかし、起訴事実には陣営入りした二〇一六年当時の罪状も含まれている。いつものことだが発言は正確にすべきだ。
疑惑の霧に覆われた政権は発足から九カ月が過ぎても落ち着かず、トランプ氏は腰を据えて国政に取り組む環境にない。大統領選中から意欲的だった対ロ関係改善も、期待薄だ。
このモヤモヤを晴らさないと政権は前に進まない。トランプ氏には捜査に進んで協力する必要がある。
トランプ氏がモラー氏の解任に動くのではないかという懸念も米政界には強い。それこそ命取りになるとくぎを刺しておきたい。
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