Redesignation of a Terror-Supporting State

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米国のトランプ政権は北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定した。核兵器・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に、追加で独自制裁が科される。ただ、米国の制裁は既に拡大、強化されており、実質的な効果は薄いとみられる。

 再指定は「象徴的」(ティラーソン国務長官)な意味合いが強いという。

 歴代米政権が北朝鮮の核開発を阻止できなかった「過去の過ちを繰り返さない」よう、核放棄に応じるまで圧力を優先し最大化する。そうしたトランプ大統領の決意を表したものといえるからだ。

 北朝鮮が反発するのは想像に難くない。米朝が互いに敵対姿勢を強めれば、対立がエスカレートしかねない。

 だが、軍事的衝突は避けなければならない。その害を被りかねない韓国、日本のみならず、そのことは国際社会の共通認識といえよう。

 「圧力のための圧力」であってはならない。大統領にはそう言いたい。経済制裁・圧力を強めるのは、北朝鮮を対話のテーブルに着かせ、核・ミサイル開発放棄に向けて交渉するためであることを忘れてはならない。

 肝心なのは、国連安全保障理事会の制裁決議を軸にした国際包囲網が、国民生活をはじめ北朝鮮の経済にどんな影響を与え、政権や軍の行動にどんな制約を及ぼしているかを把握しつつ、対話の在り方を模索することではないか。

 米国は、日韓と連携し中国とも協力して、その道をしっかりと探り続けるべきだ。

 トランプ政権が再指定の根拠として挙げたのは、禁止された化学兵器を使った北朝鮮国外での暗殺だ。今年2月にマレーシアであった金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄金正男(キムジョンナム)氏の殺害事件で、猛毒の神経剤VXが使用されたことが念頭にあるとみられる。

 再指定は、核で世界を威嚇するだけでなく、外国での暗殺を含め国際テロを繰り返し支援してきた「犯罪政権」を強く糾弾した形だ。北朝鮮を見る国際社会の目が、また一段と厳しくなる。そうした効果をも狙っているようだ。

 そんな圧力も加わる中、対話を模索する上で注目したいのは中国との関係だ。先の米中首脳会談で、北朝鮮を対話の席に着かせるため、圧力路線の米国と、対話追求の中国が「互いに補完し合うことで合意した」という。

 制裁のさじ加減についてもその効き目についても把握可能なのが、北朝鮮の後ろ盾と言われた中国だとすれば、対話路線への転換を見極める上で、その協力は欠かせまい。

 約1年ぶりに中国高官が訪朝し、一方で中国の提案を踏まえ北朝鮮高官が、米韓軍事演習停止が交渉入りの条件の一つになると示唆したといった新たな動きもある。

 米中の相互補完関係が、どう展開していくのか。この問題の平和的な解決に向け、大きな鍵を握るに違いない。

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