トランプ演説 融和説くならまず行動で
2018年02月02日 10時43分
この人としては意外に思えるほど、融和的な姿勢をみせた演説だった。しかし、それは本心か。
トランプ米大統領が、就任後初の一般教書演説を行った。憲法に基づいて大統領が年頭に表明する今後1年間の政策方針である。
トランプ氏は演説で、大型減税など1年目の実績を自画自賛し、「新しい米国の時代」の到来を宣言した。内政では1兆5千億ドル(約163兆円)規模のインフラ整備計画を掲げ、外交・安全保障分野では北朝鮮に対する最大限の圧力を維持する方針を示した。
注目されたのは、国内の対立をあおることで一部有権者の支持を獲得してきたトランプ氏が、国民に団結を訴えたことだ。野党・民主党にも協力を求めた。
「互いの相違点は脇に置き、共通点を追求し、皆さんに結束を呼び掛ける」「民主党と共和党双方のメンバーに協力の手を広げる」。こうした演説の口調は普段、対立する相手をツイッターで口汚くののしるトランプ氏とはまるで別人のようだ。
背景にあるのは、トランプ政権の行き詰まりだ。就任1年時点での支持率は歴代最低レベルである。「国境の壁」など選挙戦で掲げた重要公約の多くは、民主党の強い抵抗で実現できていない。
このままでは11月の中間選挙で与党・共和党が敗北する恐れがある。そうなれば、共和党内のトランプ氏離れが進み、自身の再選も危うくなる。危機感にかられ、公約実現のために融和のポーズを演じてみせたのだろう。
だが、民主党の不信感は根強く、1回の演説ぐらいで対立は解けそうにない。融和姿勢が本物ならば、トランプ氏は行動で示すべきだ。まずはツイッターでの品のない攻撃をやめてみたらどうか。
トランプ政権による米国の混乱は国際政治にも深刻な影響を及ぼしている。いまだに本格的なアジア政策を打ち出せず、駐韓大使さえ決まらない状態だ。分裂した米国では世界をリードできない。その悪影響は日本にも降りかかっている。
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