Lessons from the Enormous Casualties of World War I

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膨大な犠牲者を出した第1次大戦を教訓に、国際協調によって国家間の争いを解決し、平和を守ろうという機運が世界で高まった。ウィルソン米大統領の提唱で1920年、国際連盟が創設された

▼史上初の画期的な試みだったが、失敗に終わった。最大の理由は中核となるべき米国の不参加だ

▼大戦後、米国では孤立主義が優勢となり、議会が連盟参加に必要な条約の批准を否決した。さらに日本、ドイツ、イタリアの脱退、ソ連の除名で連盟は有名無実に。新たな大戦へと回り始めた歴史の歯車を止められなかった

▼米国は同じ過ちを繰り返そうというのか。トランプ政権が国連人権理事会からの脱退を発表した。その活動が「反イスラエルに偏向している」という理由だ。トランプ氏支持層の意向を踏まえたものとされる

▼孤立も意に介さないトランプ流の「米国第一主義」に、世界は振り回されっ放しだ。イラン核合意や温暖化対策の枠組み、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱、「貿易戦争」を仕掛けるかのような輸入品への一方的な課税…。国際協調体制のあちこちに亀裂が

▼第2次大戦後、世界は再び協調による平和の道を目指した。国際連合の発足だ。きのうは「国連憲章の誕生日」。45年6月26日、50カ国が国連憲章に署名した日だ。改めてその意義を考えたい。大国が自国の利益だけを優先する時代に、歴史の歯車を逆回りさせぬように。

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