Worries about the New Uber Employment Law

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米カリフォルニア州で、インターネットを介して仕事を請け負う個人らを従業員として扱うよう、企業に促す新法が成立した。2020年1月に発効する。企業は最低賃金の順守や失業保険への加入などを迫られる。

背景には、米配車サービス大手ウーバーテクノロジーズなどを通じて仕事を請け負う人に待遇への不満が根強いことがある。独立自営の人の保護のあり方に一石を投じたといえる。だが、企業のコスト負担が増すのも確かだ。成長性の高いシェア経済の勢いをそがないか、懸念を拭えない。

新法は独立事業主の定義を設けることとし、個人が企業の管理・監督下にない、企業の通常業務以外の仕事をしているなどの基準を示した。これらを満たさない場合、雇用関係のある従業員として扱うことを企業に義務づける。ネットで人と仕事を仲介する企業は広く対象になる可能性がある。

ウーバーの運転手のように一回一回仕事を請け負う就業形態には、生活が不安定になる恐れがあることは否定できない。

しかし、だからといって雇用の義務づけなどの経営介入をすれば、企業の成長力をそぎ、IT(情報技術)が就業機会を広げる流れに水を差しかねない。

待遇改善の基本は、個人がより条件の良い職に移れるだけのスキル(技能)を身につけることである。職業訓練の機会の拡充と質向上は世界共通の課題だ。

日本でも、雇用保険や労災保険の対象外である独立自営の人の保護策が検討されている。欠かせないのは自助努力で待遇の良い仕事に就くための環境づくりという視点だ。流動性の高い労働市場の整備も重要になる。

ウーバーなどの仲介会社はパートやアルバイトが仕事を請け負うことを想定していたが、実際にはフルタイムで働く人が増えた。にもかかわらず生活の安定への配慮を欠いてきたといえる。働き手との向き合い方を誤れば事業モデルは続かないことを自覚すべきだ。

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