The Shadow of Chinese-American Confrontation Falls on Internet Communication Networks

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2012年11月、ソフトバンクが米携帯通信サービスのスプリントを買収しようとしていた折、「チーム・テレコム」の名前が日本経済新聞で報じられた。「にぎわした」と言えるほどではなく、多くの人々は特に問題視しなかっただろう。

当時の米国の報道では、米政府内で国家安全保障を懸念する担当者がソフトバンクと合意を交わし、スプリントがどのような機材やシステムを使うのかを監視できるようにするとされた。中国製、特に華為技術(ファーウェイ)の製品を懸念したようだ。同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕される6年前のことだ。

チーム・テレコムは米司法省が主導し、連邦捜査局(FBI)、国土安全保障省、国防総省が参加する省庁間連携組織である。法律に基づく正式なチームではなく、通信所管の連邦通信委員会(FCC)や外交を担う国務省は直接のメンバーではない。

チーム・テレコムと並んでよく話題になるのが対米外国投資委員会(CFIUS)である。こちらは財務省主導で通信分野に限らない。大統領令に基づく組織で、フォーマルな存在である。通信関連で問題がありそうな案件があると、CFIUSとチーム・テレコムが別々に審査を行う。

なぜチーム・テレコムは国家安全保障上の懸念を持つのか。犯罪者やテロリストを追跡する上で携帯電話のデータがきわめて重要になる一方、米国の携帯電話事業に外資が次々と参入してきたためだ。

米国の大手携帯電話事業者はAT&T、ベライゾン・コミュニケーションズ、TモバイルUS、スプリントの4社だ。それぞれに外資が入っているか、入っていた。いずれも友好国である日欧の企業だ。だが非常時に外国資本が米政府の言うことを聞いてくれるのか。ここがチーム・テレコムの最大の懸念である。

とはいえ、従来はいったん買収協議に待ったをかけ、企業側と話し合った上で買収を認める形が一般的だった。

ところが、トランプ政権が発足し、17年に入ると、チームは方針を変更した。それが顕著なのが、米西海岸ロサンゼルスと香港の間を結ぶはずだった海底ケーブル、パシフィック・ライト・ケーブル・ネットワーク(PLCN)である。チーム・テレコムの反対によって、FCCは陸揚げに必要な正式許可を出していない。

PLCNは、米グーグルとフェイスブックが20%ずつ、そして中国の不動産業界有力者である韋俊康氏の香港企業パシフィック・ライト・データ・コミュニケーションが60%を保有するプロジェクトだった。韋氏は中国・山西省の鉄鋼事業と北京の不動産事業での成功に飽き足らず、通信に参入しようとした。

しかし中国企業が過半を占める海底ケーブル・プロジェクトにチーム・テレコムが反応すると、韋氏はプロジェクトの持ち分のほとんどを、中国の大手情報通信の鵬博士電信伝媒集団に売ってしまう。

チーム・テレコムをさらに刺激したのは、14年に鵬博士電信伝媒集団がファーウェイと戦略的協力協定を結び、クラウド・コンピューティング、人工知能(AI)、5Gで協力していることである。

香港での大規模な民主化デモも影響した。比較的安全なケーブルの陸揚げ地点とされてきた香港で発生したデモを、香港政府と中国政府が力ずくで押さえつけようとしていることが問題視された。そして、18年から米中貿易摩擦・技術摩擦が顕在化した。

17年までは中国と直接つながる海底ケーブルの敷設も許可されていた。既存ケーブルの使用は続いている。

米政府の内情に詳しい関係者は、チーム・テレコムがPLCNを「止めた」とするのは間違いだとみる。「能動的な調査中」であり、まだ最終決定は出ていないという。

インターネットは国境を越えて人々をつなぎ、繁栄と民主主義に資すると考えられてきた。だがもはや地政学的利害から逃れられない。PLCNは、それを象徴する。

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