A Capital without People’s Shadows

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人影がほとんどない。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って首都ワシントンにも非常事態宣言が出され、市長令で基幹的ではないビジネスの営業が停止され、10人以上が集うことも禁止されているためだ。違反すれば刑事罰などに処されるから厳しい。

 地下鉄も間引き運転が行われ、政府中枢機関や病院の近くの駅は閉鎖された。車内は行き場所がないホームレスらしき人しか見かけない。携帯に不要不急の外出抑制を呼び掛ける警報が響いたときは思わず身構えた。取材は規制対象になっていないが、緊張を強いられる。

 かつてボストンで暮らしていた際にボストンマラソンを狙ったテロ容疑者が逃走を続け、身柄拘束まで住民に外出禁止措置が出たことを、つい思い出した。慌てて食料品を買い込み、鍵を厳重に掛けて家に籠もったが、米国民の反応はそのときより神経質になっている。

 危機に当たっては通常の生活を犠牲にしてでも、大きく構えて対応する米国人のしなやかさに感心してきたが、今回は前例のないこの事態をどう乗り切るのだろうか。米国の危機管理の在り方を注視していきたい。

 見頃になっているはずのポトマック川沿いの桜は今年はお預け。来年こそはゆっくりめでる機会が戻ってほしい。(住井亨介)

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