在日米軍とコロナ 信頼壊す行為は許されぬ
在日米軍には新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、万全の措置をとってもらいたい。
感染が確認された米軍岩国基地(山口県岩国市)の関係者3人が、羽田空港から入国した後、利用しないと約束した民間機で岩国入りしていた。沖縄の米軍基地では140人以上の感染者が出ている。そのような中で、在日米軍の防止対策が十分ではないことも分かった。いずれもゆゆしき事態である。
米軍関係者は、公共交通機関を使わずレンタカーで岩国へ移動すると虚偽の申告をして、実際には民間機を利用した。新型ウイルスを拡散しかねず、在日米軍とその規律への信頼を損なう行動であり許されない。
沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)やキャンプ・ハンセン(金武町など)では、クラスターが発生した。県民の間で不安が広がっている。防衛省や外務省、県は米軍の対応を確認するため、海外や県外からの赴任者、家族を隔離していたホテル(北谷町)への立ち入りを行った。
政府は14日、岩国の事案について在日米軍に遺憾の意を伝え、厳格な処分と再発防止の徹底を申し入れた。17日には、海外から在日米軍基地に到着する全ての米軍関係者に、PCR検査を実施することも要請した。
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政府の申し入れは当然である。在日米軍は応じる姿勢だ。
今年4月、政府は米国を入国拒否の対象にした。ただし、米軍関係者は日米地位協定に基づき入国を認めている。検疫に当たる在日米軍は発熱などの症状がある人にだけPCR検査をしていた。
米軍基地と外との人的交流があるため、県民への感染拡大の恐れが指摘されている。沖縄の米軍関係の感染者の多くは無症状か軽症である。このため、河野太郎防衛相は17日の記者会見で、「無症状の人がこれだけいるので、PCR検査は必須だ」と指摘した。
在日米軍は日米安全保障条約に基づき駐留している。同盟国の軍隊として有事には命を賭して日本防衛にも当たる重要な存在だ。東日本大震災や熊本地震では災害救援に汗を流し、日本国民との間に信頼関係を培ってきた。
虚偽申告や不十分な水際対応は、長く培ってきた信頼と同盟の抑止力を損なう。在日米軍の猛省と対策改善が急務である。
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