Trump’s Expulsion Prompts Debate on Social Media Communication

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ツイッターなど米SNS(交流サイト)大手が、トランプ米大統領のアカウントを停止した。同氏の発信で米連邦議会の議事堂に支持者が集結して死傷者が出た事件を受け、さらなる暴力行為の扇動を招きかねないと判断した。

民主主義で選ばれたリーダーが暴力をあおるような投稿をするのは論外であり、各社がアカウント停止の措置に踏み切ったのは妥当な判断といえよう。他方、SNSは現代社会を支える重要な情報インフラだ。ネット上の表現の自由と公共性のバランスをどう保つかという議論を急ぐべきだ。

ツイッターは8日にトランプ氏のアカウントを永久停止した。フェイスブックも利用停止の措置をとった。投稿にほとんど介入しない新興SNS「パーラー」も、アマゾン・ドット・コムなどがシステム提供を打ち切ったことでサービス停止に追い込まれた。

他者への暴力や人種差別をあおるような投稿を防ぐのは必要だが、過度な介入が広がれば自由な言論活動が損なわれる。何をどこまで規制すべきか、将来を見据えたルール作りが求められる。

SNS各社はまず、どのような投稿が削除対象になるのかを改めて利用者に明確に示すべきだ。そのうえで日常的に問題のある投稿を監視し、やむを得ず削除する場合はその理由を丁寧に説明して透明性を高めるべきだ。

SNS運営の共通したルールも整備していく必要がある。フェイスブックだけで1日あたり平均18億人超が利用する。大手SNSの運営を企業ごとの自主的な判断だけに頼るのはもはや限界だ。

メルケル独首相はツイッターの決定を「表現の自由を制限する行為」と問題視した。欧州連合(EU)では大手SNSに対し、ヘイトスピーチなどに対する管理責任を明確にし、速やかな削除を義務付けるルール作りが進む。

米国ではネット利用者の投稿内容を放置しても運営企業が法的責任を原則問われない「通信品位法230条」を見直す機運が高まっている。日本でも偽ニュースやネット中傷を規制する動きがある。国際的な協力で土台となる共通ルールを整備する必要もあろう。

SNSは世界の人々が国境を越えて意見を交わすための貴重なツールである。政府による過度な規制を招かぬためにも、社会全体の英知を集めて健全なネット空間を守る仕組みを作るべきだ。

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