Talks between US and China: Tension Must Be Eased through Dialogue

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(社説)米中首脳協議 対話による緊張緩和を

米国と中国の2大国の関係は、今世紀の世界のありようを左右する。不毛な対立ではなく、健全な共存をめざす対話を心がけてほしい。

 米国の政権交代から3週間。バイデン大統領が就任後初めて、習近平(シーチンピン)国家主席と直接、電話で協議した。

 トランプ政権時は「新冷戦」といわれるほど、緊張が高まった。その不安な関係が変わるか否か、世界は注視している。

 協議後の双方の発表からうかがえるのは、互いに相手の出方を探る牽制(けんせい)と、前向きな変化を促す機会の模索である。

 バイデン氏は新型コロナ対応や気候変動などを語りあったとし、「米市民の利益になるときは、中国と協力すると伝えた」と明らかにした。

 前政権と違い、全面的な対抗ではなく、課題ごとに是々非々で臨む姿勢を示唆したようだ。習氏も「様々な対話メカニズム」づくりを提起した。

 米中関係は、自国第一主義がぶつかる覇権争いであってはならない。世界の分極化を避けるためにも、双方が利害を共有する領域を広げるべきだ。

 ただ、変わらぬ相違点は、この協議でも鮮明になった。

 まずは貿易問題である。バイデン氏は中国の「高圧的で不公正な経済慣行」を指摘した。確かに、中国市場の通商障壁などは十分に改善されていない。

 中国は、貿易を恣意(しい)的に対外制裁に使う行動も改めねばならない。この点については米国も、前政権のような乱暴な関税制裁は控えるべきだ。

 軍事面での緊張も続いている。中国軍は台湾海峡で戦闘機などでの挑発を強めている。南シナ海では米軍が最近、空母2隻による演習をした。

 さらに香港、新疆などでの人権侵害をめぐっては、今後も対立が続くだろう。今回、バイデン氏は台湾問題も含めた「根本的な懸念」を表明したが、習氏は「内政問題への干渉」だと反発した。

 民主主義や法の支配などを重んじるバイデン政権と、権威主義を強める共産党体制との間には、埋めがたい溝がある。

 この「重大な競争相手」と米国が向き合ううえで、同盟国などとの連携をバイデン氏が重視するのは当然だろう。

 米国は、日豪印とともに集う4カ国の首脳協議を模索しているという。新たな試みではあるが、中国を封じ込めるような冷戦思考であってはなるまい。

 民主主義と人権の原則を共有するアジア太平洋の主要国が、中国を巻き込みながら穏健な秩序づくりを主導する。そのための周到な外交努力が、米国並びに日本にも求められている。

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