The Sorry State of New York’s Subways, Where Trouble Won’t Stop

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最近は、なるべくニューヨークの地下鉄を利用しないようにしている。新型コロナウイルスの感染が怖いのではない。地下鉄の車内で物騒な事件が多いのだ。

 先週末にはホームレス4人が相次いで刃物で刺され、このうち2人が死亡する事件が起きた。容疑者は同一人物ですでに逮捕されたが、16日にも、アジア系の女性2人が何者かに暴行を受け、負傷したと報じられた。

 昨年秋以降はホームから線路に突き落とされる事件が相次ぎ、身近でも「見知らぬ人にいきなりつばを吐かれた」などといった話をよく聞く。報道によると、逮捕された人の多くは精神疾患を抱え、昼夜かまわず無差別で攻撃しているとみられ、たまに利用するときはちょっと緊張感が走る。

 1年に及ぶパンデミック(世界的大流行)をへて、地下鉄の利用者は7割程度減少。乗客が激減した一方で一部路線はホームレスの生活の場と化し、トラブルが絶えないのが現状だ。

 老朽化や遅延といった問題が多いニューヨークの地下鉄だが、110年以上にわたって24時間運行し、夜中も乗客でにぎわい、エネルギッシュな街の象徴だったのに…。新型コロナ検査の陽性率が下がっても、地下鉄の惨状を見る限り、経済の復興には相当な時間はかかりそうだ、と痛感する。(上塚真由)

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