米国南部のテキサス州で寒波を原因とする大規模な停電が発生した。日本でも1月に電力の需給が綱渡りの状態に陥った。
日米で相次いだ需給逼迫は、自由化が進む電力市場において、安定供給を保つ方策の重要性を改めて突きつけている。
テキサス州の気温は氷点下になり、中心都市ヒューストンは積雪に見舞われた。米南部では尋常でない光景と言わざるを得ない。
暖房用の電力需要が急増する一方、発電燃料の主力を担う天然ガスのパイプラインや風力発電設備の凍結により電力供給が滞り、数百万件の停電が発生した。
販売用電力を調達する卸電力市場の価格が急騰し、デフォルト(債務不履行)に陥った電力事業者も出たと報じられている。
テキサス州はカリフォルニア州に次ぐ米国第2の経済規模があり、ロシアや韓国を上回る。その電力危機は大きな混乱を招いた。
テキサス州の出来事は、日本の需給逼迫と相似形と言ってもいい。同州は米国でも電力自由化が進んだ州とされる一方、送電網が独立し、連邦の規制は及ばない。卸電力市場も州内を対象とする。
さらに自由化が進んだ競争環境下で、事業者に発電設備への投資を促す仕組みを欠いたことが原因のひとつとして浮上している。
日本でも異例の寒波による需要の急増に供給力が追いつかず、卸電力価格の高騰が事業者の経営悪化を招いた。
送電網も地域単位で分断され、地域を越えた融通に限界がある。輸入頼みの液化天然ガス(LNG)発電への依存度が高く、緊急での燃料確保が難しかったことが1月の需給逼迫を招いた。
記録的な寒波などまれにしか起きない需給の変動に備え、発電事業者に供給の予備力をどこまで求めるのかは議論の余地があるだろう。ただし、発電能力を適切に更新・維持し、他地域と円滑に電力を融通する仕組みの整備は欠かせない。特定電源に偏りすぎない電源構成のバランスも大切だ。
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