米国の中国戦略 対抗しつつ共存を図れ
中国とどう向き合っていくのか。日米両国が開いた閣僚会議のテーマはこの難題だった。中国とは対抗しながらも共存を図ることを忘れてはならない。自由主義諸国の結束はそのためにも必要だ。
日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は共同文書で、中国について「ルールに基づく国際体制を損なう、地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対する」と批判した。
2プラス2に出席したブリンケン国務長官とオースティン国防長官は日本に続いて韓国を訪問する。この歴訪の直前には、米国の呼び掛けでインド太平洋地域の日米豪印四カ国による初の首脳会議がオンライン形式で行われた。
こうした矢継ぎ早の動きを見せるバイデン米政権の狙いは、民主主義、人権、法の支配という価値観を共有する同盟国・友好国と、対中政策をすり合わせて足並みをそろえることである。
日米豪印四カ国の首脳会議は共同声明で、四カ国が「自由で開かれたインド太平洋のための共通のビジョンの下で結束している」とうたった。
この「クアッド」と呼ばれる四カ国の枠組みを、バイデン政権はインド太平洋政策の基盤と位置付ける。
一方、伝統的に「非同盟」の立場のインドは、クアッドが「対中包囲網」と受け取られることを懸念し、首脳会議の開催を渋っていた。そのインドを引き込んだ意味は大きい。
ただし、インド太平洋は対立よりも共存・共栄の大洋でなくてはならない。世界経済の成長センターであるアジアで緊張が高まることは誰の得にもならない。クアッドは地域の安定を担う役目を務めるべきだ。
バイデン政権が同盟関係を重視し、同盟国と意見調整を重ねることを歓迎したい。ずぬけた国力の米国が同盟国を強引に付き従わせるような時代ではない。長期的視点に立った対中戦略を共に練り上げてほしい。
通商、軍事、ハイテクなどあらゆる分野で繰り広げられる米中の覇権争いは「新冷戦」とも呼ばれる。バイデン大統領は中国を「最も重大な競争相手」と見なす。
同時に気候変動、感染症という地球規模の問題では中国と協力していく姿勢も見せる。
米国はこうした「競争と協力」のバランスを崩さぬよう心掛けてほしい。
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