US Should Seek Common Ground with China While Valuing Allies

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米バイデン政権発足後、初めて対面式で会った米中外交トップ協議では人権、安全保障を巡る対立が鮮明になった。一方、気候変動など利害が重なる課題もあり、対話は継続される。

米国は同盟国と協議しながら今後の対中政策を検討すると明言した。中国の習近平長期政権にどう向き合うかは今や世界的な課題であり、歓迎したい。中国側と接点を探る際は日本を含む同盟国も積極的に関与し、ルール作りの一翼を担うべきだ。

米アラスカ州アンカレジでの2日間にわたる米中協議では冒頭、記者団の前で過去に例を見ない激しい応酬が1時間以上続いた。米側が非難したのは新疆ウイグル自治区、香港、台湾、サイバー攻撃などの問題だ。

ブリンケン米国務長官は中国の行動について「世界の安定に欠かせないルールに基づく秩序を脅かしている」と訴えた。中国側は主要国が参加する対中包囲網を強く警戒している。楊潔篪共産党政治局委員が「世界の大部分の国は米国の価値観が世界的な価値観だとは認めていない」と反論したのも警戒感の表れだ。

一方、ブリンケン氏は記者団に「イランや北朝鮮、アフガニスタン、気候変動では利害が重なる部分もあった」と説明した。特定地域の安定を巡る課題で中国が貢献するなら歩み寄りもありうることを示唆している。

気候変動問題も協力が期待できる数少ない分野だ。バイデン米大統領が主催する4月下旬の気候変動に関する首脳会議に合わせた協力が焦点になる。

中国は先に2035年までに国力を引き上げ、中等レベルの先進国にする長期展望を示した。アラスカ協議でも一端を紹介した。米国超えを狙う国家戦略が明らかで、中長期的な覇権争いも絡むだけに対立緩和は容易ではない。中国が高い関心を示す貿易問題の先送りも厳しさを象徴している。

中国が自由主義、民主主義諸国から歓迎されながら安定的に成長する方法はある。まず力で現状を変更するような対外戦略をとらず、中国の主張を受け入れない国に経済的な圧力をかける手法を自制する。それが先決だ。

世界第1位、2位の経済大国の対立が固定化すれば、新型コロナウイルス禍で疲弊する世界経済への影響も大きい。今こそ接点を探る工夫が必要である。

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