Chest-Thumping and Missile Launches Will Change Nothing for North Korea

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北朝鮮がきのう、日本海へ向けて弾道ミサイルを発射した。昨年3月以来で、今年1月の米バイデン政権発足後初めてだ。

 バイデン政権は対北朝鮮政策の見直しを進めている。発射には、米国をけん制する狙いがあるのだろう。

 国連安全保障理事会の決議は、すべての弾道ミサイル発射を北朝鮮に禁じている。発射は明白な違反行為である。

 5日前にも短距離巡航ミサイルを発射したが、バイデン政権は静観した。安保理決議違反ではないが、危険な挑発だ。

 北朝鮮の短距離弾道ミサイルは日韓にとっては脅威だが、トランプ前米大統領は米本土には届かないと問題視しなかった。北朝鮮は同盟重視を掲げるバイデン政権の反応を見ながら、挑発の度合いを少しずつ高めているようだ。

 1月の朝鮮労働党大会では米国を「主敵」と呼び、核戦力の増強に加え、原子力潜水艦や極超音速滑空兵器を開発すると主張した。実現可能性の低い最新型兵器まで並べ立てたのは、自らが脅威であるとアピールするためだ。

 日米韓の連携にくさびを打ち込もうとする動きも続けている。

 春の米韓合同軍事演習が2年ぶりに実施されると、金正恩(キムジョンウン)総書記の妹である金与正(キムヨジョン)氏が韓国を非難する談話を発表した。直接的な対米批判は避けており、南北関係改善を宿願とする韓国の文在寅政権を揺さぶる意図は明白だ。

 日米韓3カ国は、北朝鮮に付け入るすきを与えないよう緊密に連携する必要がある。

 金総書記は、自らの権力基盤を固めるために国民生活を向上させようとしている。だが、現状は極めて厳しい。核・ミサイル開発問題で経済制裁を強化されたうえ、新型コロナウイルス対策で外国との貿易まで止める事実上の鎖国を強いられてきたからだ。

 バイデン政権は政策見直しにあたって外交ルートを通じて北朝鮮と接触しようとしたが、北朝鮮が応じなかった。

 しかし北朝鮮には、米国との対話を通じて核問題を解決し、国際的孤立から脱する以外の道はない。挑発を繰り返しても展望は開けない。金総書記は、厳しい現実を直視すべきである。

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