Working for an Effective Plan To End Asian American Discrimination

OPD: 16 May 2021

Edited by Gillian Palmer, proof in progress

Note to Editor: Unable to source quote by Zhao

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米アジア系差別 根絶へ実効性ある対策を

 米国でアジア系市民への暴力や嫌がらせが深刻な問題となっている。殺人事件も相次ぎ、日本人を含めアジア系のコミュニティーに不安が広がっている。看過できない事態だ。

 米国社会の分断克服を掲げるバイデン政権は、根強い黒人差別も含め人種差別の解消に力を入れるとしている。効果的な対策を打ち出してほしい。

 3月16日、米南部ジョージア州アトランタと近郊でアジア系女性ら8人が死亡する連続銃撃事件が起きた。人種を理由にした憎悪犯罪(ヘイトクライム)との見方が強い。

 同29日にはニューヨーク市でフィリピン系女性が黒人の男に歩道で蹴り倒され重傷を負った。男は「ここはお前の居場所じゃない」と叫んだという。

 今月2日は同市の繁華街でアジア系女性が見知らぬ女にハンマーで頭を殴られ、負傷した。殴る直前、女は「マスクを外せ」と要求したという。

 米国の大学の調査によると、米主要16都市で昨年起きたアジア系への憎悪犯罪は前年比2・5倍の122件に上った。

 背景にあるのが、中国が起源とされる新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 トランプ前大統領は、自らの政治責任をかわすため、新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼び、中国への非難、やゆを繰り返した。これがアジア系差別をあおったとされている。

 バイデン大統領は危機感を強めている。母親がインド出身のハリス副大統領とともに事件現場のアトランタを訪れ、「米国はヘイトを許さない」と演説し、対策を講じる考えを示した。

 先月には米上院で、アジア系への憎悪犯罪対策を政府に求める法律が圧倒的多数で可決された。こうした行動を通して、反差別のメッセージを発信していくことも重要だ。

 スポーツや文化などの分野で活躍するアジア系の人々が積極的に発言しているのも心強い。

 女子テニスの大坂なおみ選手は、憎悪犯罪を非難する米テニス団体のメッセージ動画で、「アジア文化や人々を尊重し、愛するようになってほしい」と呼び掛けた。

 大坂選手は昨年、白人警官による黒人男性暴行死事件など一連の人種差別に抗議し、全米オープンで被害者の名前が入ったマスクを着用して出場し大きな共感を呼んだ。

 アジア系への差別解消に向けても、大坂選手の訴えが力になってほしい。

 今年の米アカデミー賞監督賞は「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督が受賞した。クロエ氏は中国出身で、白人以外の女性監督としては初めての受賞となった。

 クロエ氏は記者会見でアジア系に対する差別に触れ、「みんなで一つになり、相手が誰であろうと憎悪はやめにしよう」と呼び掛けた。

 日本でもさまざまな差別や偏見がある。根絶に向け一人一人が声を上げ、行動していく。その大切さを胸に刻みたい。

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