After the Cease-fire in Gaza, America Must Help Rebuild Peace in the Middle East

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<社説>ガザ停戦合意 米国は中東和平再建を

中東和平を主導したかつての米国とは今昔の感を覚える。イスラエルとパレスチナの紛争は停戦合意にこぎつけたものの、米国の影は薄かった。バイデン政権は和平再建へ立ち返るべきだ。

 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスがロケット弾を連射すれば、イスラエルは空爆で報復する−。

 この武力衝突でバイデン大統領は「イスラエルには自衛権がある」とイスラエル擁護に立った。

 ガザでは学校や病院も被害を受けた。子供を含む民間人の犠牲が深刻になるにつれ、足元の民主党からもバイデン氏への風当たりが強まった。中国のウイグル政策を厳しく指弾する人権重視の姿勢とは矛盾していると批判された。

 バイデン政権が掲げる国際協調路線も看板倒れだ。国連安全保障理事会は米国の抵抗で声明がなかなかまとめられず、機能不全を来した。

 バイデン氏がイスラエルの肩をもったのには、トランプ前政権が離脱したイラン核合意への復帰を目指す事情がある。核合意に反対するイスラエルとあつれきを起こしたくないという配慮が働いたのだろう。

 バイデン政権は「唯一の競争相手」と位置付ける中国を外交戦略の最優先課題に据えてアジア太平洋地域を重視している。

 一方、出口の見えない中東和平問題に消極的なのは、和平担当の特使が決まっていないことでもうかがえる。だが、米国が和平問題に関与しないわけにはいかないのが現実だ。

 バイデン氏が副大統領として仕えたオバマ元大統領は、中東から手を引いて成長センターのアジアに軸足を移す戦略を描いた。ところがシリア問題と過激派組織「イスラム国」(IS)対策に追われて、結局、アジアシフトは中途半端に終わった。

 今回のようにパレスチナの紛争が再燃すれば、米国は否応(いやおう)なしに大きなエネルギーを割かざるを得なくなる。バイデン氏はオバマ氏の轍(てつ)を踏むことになりかねない。

 パレスチナ国家の樹立を認め、イスラエルとの二国家共存を目指すしか和平への道はない。イスラエルに一方的に肩入れしたトランプ前政権はこの和平構想を事実上放棄した。

 バイデン氏は一方に偏らない公平な立場に立って仲介役を果たしてほしい。

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