うるま市昆布の米陸軍貯油施設から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)やPFOA(ピーホア)を含む汚水が施設外に流出した。
最大約2400リットル(ドラム缶12本分)が流れ出た可能性がある。
米軍によると、貯水槽とふたとの接続部分が劣化し、雨水が入り込んで汚水があふれたという。貯水槽はPFOSなどを含む消火剤と混ぜる水をためるためのもので現在は使っていなかった。あふれた汚水は付近の排水路から提供施設・区域外に流れたとみられる。
管理のずさんさにあぜんとする。
同じうるま市の津堅島の畑に米軍ヘリが不時着してから10日もたたずに今度は汚水流出だ。基地集中がもたらす事故が住民を不安に陥れている。
県やうるま市への報告にも時間がかかり過ぎる。施設外に流れ出たとみられるのは10日午後4時46分ごろだったというが、日本側への連絡は翌日の夕方だった。
結果、日米間の環境補足協定に基づく日本側の立ち入り調査は、流出の2日後となった。しかも国や県、市の担当者は現場を確認し米軍の説明を聞くだけにとどまった。
県や市は11日夜から12日にかけて周辺水路などから調査のために取水したが、既に発生から1日以上経過している。正確な調査は困難である。
米軍からの報告の遅れはこれまで何度も問題になっている。政府は米軍に強く抗議し改善を申し入れるべきだ。
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県内では過去にも米軍基地でPFOSなどの漏出が確認されている。
昨年4月には、PFOSを含む泡消火剤が普天間飛行場から基地の外へ大量に流出した。白い泡が住宅地にも飛び散り、こども園の窓や遊具にも付着するなどした。
どの基地にどれだけの量の危険物が貯蔵されているのか県民には知らされていない。基地周辺で環境汚染が起きても米軍は原因が基地にあると認めないこともある。ただ、県が昨年9月に米軍基地周辺54地点で実施した水質調査では、36地点で環境省の定める暫定指針値を超えた。
今回、汚水が流出した貯水槽はフェンスのそばにあり、道路を挟んで集落が広がる。タンクから続く排水溝は集落内の水路へ合流し、天願川へつながっている。住民の不安は募るばかりだ。
日本側は今からでも施設内でサンプル採取し客観的な調査をすべきだ。
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米情報自由法により沖縄タイムスが入手した16年の米軍内部の電子メールの中には、空軍の環境技術者が汚染問題について「PFOSというたわ言」と言及したものもあった。
環境汚染を軽んじるこのような認識が米軍全体で広がっているとすれば、今後も同様の事故が起きかねない。
環境問題にフェンスはない。基地で事故が起きれば周辺の住民に影響が及ぶ。政府は消火剤の保管や漏出防止策について国内法の適用を米軍に求めるべきだ。
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