The Disappearing General Lee

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私が住む南部バージニア州アーリントン郡の幹線道路に「リー・ハイウエー」がある。南北戦争(1861~65年)で南部連合を率いたリー将軍に由来する名称だが、同郡は先日、名称を変えることを決めた。

全米で人種差別への抗議が激化した昨年以降、奴隷制存続を当初掲げた南部連合に関わる人物は「悪役」扱いで、リー将軍らの像が各地で撤去された。首都ワシントンとポトマック川を隔てる同郡も例外ではなく、道路は同州で黒人初の連邦下院議員となった奴隷制廃止論者、ラングストン氏にちなむ名前に変わる。

名称変更は子供が通う学校でも起きた。児童が近隣の新校舎に移るのに伴い、現在の「マッキンリー小学校」の名前をやめて、9月からは、鳥の名前からとった「カーディナル小学校」に改名するという。

従来の学校名が、ハワイやフィリピンを併合する帝国主義政策を進めたマッキンリー大統領(在任1897~1901年)に由来するか定かでないが、教育委員会は「歴史を連想させる人名は避けるべきだ」として名称変更を決めた。

住民の大勢は旧名の継続を望んでいた。地名などは歴史や伝統を背負ったものが少なくない。複雑で多面的な歴史の「純化」とも映る動きを、米国民が将来、どう振り返り、どう評価するのだろう。(塩原永久

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