A ‘Futon’ Is Not the Same as a Futon

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先日、自宅の仕事部屋で寝具として使ってきた「FUTON(フトン)」を廃棄した。FUTONは日本の布団が由来とされる。このところ連日、ダニに刺される被害が続いたため、長年の使用でほころびが目立つFUTONにダニが住み着いたとにらみ、泣く泣く捨てることにしたのだ。

もっとも、米国式のFUTONは、日本人がイメージする布団とは似ても似つかない。およそ簡易ベッド兼ソファをFUTONと呼び、売っている。ソファの可動式の背もたれを倒すとベッドになる仕組みだ。

学生寮のような狭い部屋で使い勝手が良く、商品として定着したようだ。ただ、簡易ベッドとしては、背もたれ部分に段差が生じたりする代物で、決して寝心地は良くない。そのため、米国人に「日本人はフトンで寝ます」などと日本文化を紹介しようものなら、「日本の人々は粗末な寝具で寝るのだな」と哀れむ目でみられかねない。

その後、FUTONを新調したのだが、後日談がある。居住地の首都ワシントン近郊でダニ被害の増加が各所で報告されたのだ。米紙によると、今夏、米東部で大量発生したセミの卵を食べるダニが急増。屋外で刺される人が続出した。私の虫刺されでFUTONに罪はなかったのかもしれないが、廃棄した今となっては知る由もない。

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