An Act of Tyranny That Undermines Our Alliance: US Forces Release Contaminated Water in Okinawa

<--

在沖米軍の汚染水放出 同盟の信頼を損なう横暴

基地周辺の住民や自治体、日本政府との信頼関係を損ねる横暴な行為である。

 沖縄の米海兵隊が先月、普天間飛行場で保管していた有機フッ素化合物「PFOS」「PFOA」を含む汚染水を、濃度を下げる処理をした上で下水道へ放出した。

 自然界では分解されにくく、生物体内に蓄積される物質だ。国際機関はPFOAを「発がんの可能性がある物質」に分類し、PFOSも動物実験で健康への影響が認められたという研究報告がある。

 汚染水は、これらを含む泡消火剤を訓練で使った際に生じたという。PFOSを含む廃棄物については、焼却などで分解処理するよう定める環境省のルールがあり、米軍はこれまで専門業者に委託して焼却してきた。

 ところが、今回は処理方法を変えた。大雨などで貯水槽からあふれ出る可能性があり、急いで対応する必要があったためだと説明している。放出は、焼却に比べて費用や時間がかからないという。

 米軍は、処理水1リットルあたりのPFOSなどの含有量は、日本の水道水などの基準を大幅に下回っており、安全だと強調している。

 だが、地元の宜野湾市が放出直後に飛行場から流れ出た下水を調査したところ、基準の13倍超の含有量だったという。米軍は実態を調べ、日本側に説明すべきだ。

 手続きの面でも問題が多い。

 沖縄県は7月に放出計画を知らされ、焼却処分を求めていた。日米両政府が取り扱いを協議していたさなかの一方的な放出だった。

 米側からの通知は、開始のわずか30分前だった。県は直ちに中止を求めたが、米軍は計画の約6万4000リットル全てを流したという。

 日本側の要請を無視した不誠実な対応だ。米軍は判断の理由と経緯を明らかにする必要がある。

 普天間飛行場では昨年、PFOSを含む泡消火剤が敷地外に流れ出る事故が起きた。今年6月には、うるま市の米軍施設のタンクから汚染水が流出した。米軍は情報開示や説明に消極的で、住民らは不信感を募らせている。

 米軍基地の安定的な運用や日米同盟は、信頼関係なしには成り立たない。自らの振る舞いがその基盤を損ねていることを、米軍は自覚すべきである。

About this publication