US Military Base in Okinawa Deepens Distrust with Contaminated Water Release

<--

 在沖縄米軍の無軌道ぶりに言葉もない。先月下旬、海兵隊は有機フッ素化合物PFOS(ピーフォス)を含む約6万4千リットルの水を、普天間飛行場から下水道に流すという信じられない行動に出た。

 泡消火剤などに使われてきたが、人体や環境に深刻な害を及ぼすとの懸念が高まり、いまは法律で製造・使用が原則として禁止されている物質だ。

 米軍は焼却処分すると費用がかさむとして放出を打診。日米両政府で協議をしているさなかに、一方的に作業を進めた。到底許されるものではない。

 いつもは米側の顔色をうかがって及び腰の日本政府も、ただちに遺憾の意を表明し、沖縄県議会は全会一致で米政府・軍あての抗議決議を可決した。

 米軍は、低濃度に処理したうえで流したので危険はないと説明していた。ところが地元宜野湾市が下水を採取して調べたところ、国が河川などの水質管理で定める目安の13倍超の数値を示したという。政府は米側に明確な説明を求める必要がある。

 環境省は昨年、PFOSを含む泡消火剤が国内の消防や自衛隊の基地、空港などに約340万リットルあると発表した。そのひとつ、航空自衛隊那覇基地では今年2月に同剤の飛散事故が起きた。これとは別に、敷地内の水槽から高濃度のPFOSなどが検出されていたことも判明し、岸信夫防衛相は全国の基地を調べる方針を示した。

 いずれも見過ごすことのできない不祥事で、防衛省の管理責任が厳しく問われる。それでも相手が自衛隊であれば調査の手も届くが、米軍については、いったいどれだけの有害物質を保有し、どう管理しているのか、実態は全くわからない。

 日米地位協定により、基地の管理権が米軍にあるためだ。15年に環境に関する補足協定が発効したが、日本側の権限はあいまいなままだ。実際、翌16年以降、嘉手納基地周辺で高濃度のPFOSが検出されたとして、国や県は立ち入り調査を求めたが、米軍に退けられた。

 嘉手納の例を含め、基地周辺で恒常的にPFOSが認められることから、県は内部に速やかに立ち入りができるよう、ルールの改定を求めている。

 沖縄に限らない。PFOSは東京・米軍横田基地周辺の井戸からも検出されるなど、問題は全国に広がる。政府は国民の不安を受け止め、米側との協議を進めるべきだ。

 今回の強行放出をめぐり、米軍側は抗議は受け付けないとして、「意見交換」の名目で県幹部との面会に応じた。これも理解できない振る舞いだ。横暴な態度は県民との溝を深め、不信を拭いがたいものにする。

About this publication