Nuclear Tension in the South China Sea

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「原潜」でにらむ南シナ海、豪州は対中国へかじ切った 米英と新体制

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バイデン米大統領は15日、米ホワイトハウスで記者発表し、インド太平洋地域における米英豪3カ国の新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設することを明らかにした。発表の場にジョンソン英首相、モリソン豪首相もオンラインで参加。中国への対抗を念頭に、米英は豪州の原子力潜水艦能力の保有を支援する。

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 「AUKUS」は、米英豪の国名を組み合わせたもの。バイデン氏は記者発表で、米英豪が第1次世界大戦以来、ともに戦ってきた最も古い同盟国だと強調し、「21世紀における脅威に立ち向かう能力を最新のものへと高めていく」と強調。サイバー、人工知能(AI)、量子テクノロジーなどの最先端技術、産業基盤やサプライチェーン(供給網)などの分野でも連携を強化する。

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 「AUKUS」は、日米豪印(クアッド)など他の枠組みと比べてより軍事的な性格が強いことが大きな特徴だ。最初の取り組みとして、米英が原潜技術を供与する。原潜技術は最高機密であり、米国がこれまで供与したのは英国だけだ。原潜はステルス性に優れ、長距離潜航が可能。豪州が原潜を保有すれば中国にとって脅威となる。今後18カ月間、3カ国で結成したチームが計画策定にあたる。

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ただ、核兵器国ではない豪州の原潜保有は、核不拡散条約(NPT)をめぐって物議を醸す可能性がある。モリソン氏は「豪州は核兵器の獲得を目指しているわけではない」と主張。バイデン氏も「原子炉を動力とした通常兵器搭載の潜水艦だ」と述べ、問題はないとの認識を示した。

米英豪「AUKUS」の影響力は 中国の反発は必至か

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 米英豪3カ国が新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS」を立ち上げた。豪州の原子力潜水艦能力の保有などで連携を強め、南シナ海や台湾周辺で活動を活発化させる中国に対する抑止力の強化を狙う。米中が対立するインド太平洋地域のパワーバランスに影響を与える可能性もある。

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「我々は、インド太平洋地域での最近の戦略的環境に対応する必要がある。米英豪、世界の未来は『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』にかかっている」。バイデン米大統領は15日の記者発表で、こう強調した。

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 「AUKUS」は基本理念にルールに基づく国際秩序の重視を掲げる。3カ国は直接的な名指しは避けるが、中国への対抗を念頭に結成されたことは明らかだ。バイデン政権は同盟国・友好国との連携を対中戦略の核心に据え、日米豪印(クアッド)などの枠組みを結成してきたが、中でも米英豪は軍事的な結びつきが強い枠組みとなる。

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 東アジアの安全保障問題に詳しい米ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は「英国と豪州は、米国にとって最高レベルの同盟国といえる。英国と豪州とは過去の戦争を一緒に戦ってきた関係があるからだ」と語る。3カ国は、情報機関同士が協力する「ファイブアイズ」(米、英、豪、加、ニュージーランド)のメンバー国。「防衛装備品やインテリジェンスをお互いに共有し合うことが可能だ。さらに実際の戦闘経験もあり、戦闘における相互運用性の深化も図ることができる」という。

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 「AUKUS」が前面に打ち出すのが、豪州の原子力潜水艦能力の保有をめぐる協力だ。豪州はもともと高性能の次期潜水艦の導入を目指し、日本は「そうりゅう」型潜水艦を提案。しかし、2016年に仏のディーゼル潜水艦の製造を決定したという経緯がある。

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 米英が今後、豪州に技術供与する原子力潜水艦はステルス性に優れ、半永久的とも言われる潜航能力をもつ。南シナ海や台湾への航行も可能となり、周辺で活動を活発化させる中国への抑止力としての役割を期待できる。

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 豪州は新型コロナウイルスの起源に関する国際的調査を求めたことをきっかけに、中国が豪州産輸入品に高関税を課して両国関係が悪化。中国は最大手の貿易相手国だが、豪州は「AUKUS」への参画で米国の対中戦略への協力にかじを切ったといえる。

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 一方、英国が「AUKUS」のメンバーであることも大きな特徴だ。英国は「グローバル・ブリテン」構想を掲げ、最新鋭空母「クイーン・エリザベス」の派遣などでインド太平洋地域での存在感を高めようとしている。また、最近は仏独も同地域に艦船を派遣。バイデン氏は記者発表で「仏はすでにインド太平洋地域で重要な存在感を示している」と持ち上げた。今後さらに多くの欧州の艦船が同地域に入ってくる可能性もある。

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 一方、中国外務省の趙立堅副報道局長は16日の定例会見で、「地域の平和と安定を深刻に破壊する。軍備競争を加速させ、核不拡散の努力を害するものだ」と反発した。中国の政府系シンクタンク研究者は、「中国は米国がクアッドも含めてアジア版北大西洋条約機構(NATO)をつくる動きだと警戒しており、中国はロシアに接近することになる」と指摘する。中国が軍事拠点化を進める南シナ海や台湾周辺での米中間の緊張がさらに高まる恐れもある。(ワシントン=園田耕司、北京=高田正幸)

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