Encircling China: Making It Work

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バイデン氏演説 対中包囲網を機能させよ

バイデン米大統領が就任後初めて臨んだ国連総会の一般討論演説で、アフガニスタンの紛争を終わらせたとして「最も重要なインド太平洋に焦点を移す」と述べ、中国への対抗に注力する姿勢を示した。

「戦争の時代の幕引き、外交の時代の幕開け」でもあり、米国は同盟・友邦諸国、地域機構と連携し、世界を導くと強調した。

毎年この時期の国連演説は、各国首脳らが、外交分野の理念や戦略を世界に向けて表明するもので、発言の意味は重い。

バイデン大統領は、同盟・友邦諸国との関係強化を優先させてきたとし、日本、オーストラリア、インドとの枠組み(クアッド)や東南アジア諸国連合(ASEAN)にも言及した。

中国包囲網の構築が着々と進んでいることであり、評価できる。英豪との新たな安全保障上の枠組み、AUKUS(オーカス)の創設も大きな一歩だ。豪の原子力潜水艦保有を米英が支援する。

もっとも、この一件をめぐっては、豪との潜水艦開発計画を破棄されたフランスが態度を硬化させ、駐米、駐豪大使をそろって召還する事態に発展した。

米仏はともに自由や民主主義、市場経済といった普遍的価値を共有している。ただし、国と国との連携は、理念の共有だけでは成り立たない。

利害対立が起きるのは当然であり、それを乗り越える努力をするのが同盟・友邦諸国と考えたい。対中包囲網が真に機能するかどうか、これからが本番だ。米仏は早期の関係修復を図ってほしい。

物足りなかったのは、バイデン大統領が演説で、「中国」という言葉を避け、名指ししなかったことだ。一方、中国は習近平国家主席がビデオ演説で、米国を念頭に「相互利益の協力に基づく新たな国際関係を構築する必要がある」と述べ、両国が共存する国際秩序を呼びかけた。包囲網の動きを牽制(けんせい)したものである。額面通りに受け取ることはできない。

バイデン大統領が北朝鮮の非核化関連で日本人拉致に言及しなかったのは残念だ。トランプ前大統領は最初の国連演説で「13歳の日本人の少女を拉致した」と述べ、北朝鮮を糾弾した。バイデン政権は北朝鮮問題にいまだ手つかずの印象だ。同盟・友邦諸国の力を結集し、早急に動いてほしい。

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