Diplomacy and Security: A Strategy Based on Pacifism

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米中が厳しく対立する時代に、憲法が定める平和主義の原則に立って、日本や地域の平和と安定をどう守るか。各党は理念を明確にしたうえで、総合的な戦略と具体的な方策を有権者に示さねばならない。

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、中国が台湾を武力で威圧するなど、東アジアの安全保障環境は厳しさを増している。日本の外交・安全保障政策の基軸が日米同盟であるという立場は、政権交代をめざす立憲民主党も変わらない。

 ただ、米国に従うだけでは、日本の安全は守れまい。イラクやアフガニスタンで見られたように、軍事力に頼る米国の外交は時に大きな過ちも犯す。専守防衛による抑制的な防衛力整備や国際協調の重視など、日本が戦後維持してきた価値観を踏まえ、米国にも主張すべきは主張する主体性が求められる。

 中国との関係もそうだ。日本は歴史的にも経済的にもつながりの深い隣国であり、対峙(たいじ)一辺倒ではなく、対話を通じた信頼醸成や緊張緩和に力を尽くす必要がある。気候危機や新型コロナへの対応など、協力すべき課題も多い。中国を多国間協力の枠組みに引き込むような働きかけが求められる。

 その点、力への傾斜を強める自民党の公約には危惧(きぐ)を覚えざるをえない。

 ひとつは、防衛力の大幅な強化を掲げ、北大西洋条約機構(NATO)諸国の国防予算の対GDP比目標である「2%以上」を念頭に防衛費の増額をめざすとしたことである。

 日本の防衛費は90年以降、ほぼ1%未満で推移しており、2%なら倍増となる。必要な装備を積み上げたわけではなく、コロナ対策や社会保障費の増大で財政の逼迫(ひっぱく)度が増すなか、現実的な数字にはとてもみえない。NATOでもドイツやイタリアなど主要国が達成していない目標を打ち出すことが、軍拡競争を助長する懸念もある。

 もうひとつは、「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力」という表現で「敵基地攻撃能力」の保有に言及したことだ。政府はこれまで、他に手段がない場合に限り、自衛の範囲内といえるが、あくまで法理的な可能性であり、実際には持たないとしてきた。

 立憲の枝野幸男代表は、ミサイル防衛強化の必要性は認めながらも、探知の困難さや日米の役割分担を踏まえ、「自衛隊が自前で獲得する能力としては現実的ではない」と否定的な考えを示している。

 国の防衛には国民の理解と協力が欠かせない。その助けとなるような突っ込んだ論戦を、各党に求めたい。

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