Easing of US Monetary Policy: Be Careful To Achieve a Soft Landing

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米緩和縮小 注意深く軟着陸果たせ

米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が、金融の量的緩和を縮小していくことにした。コロナ禍の下での危機対応から、「平時」の安定成長にいかに軟着陸するか。世界経済への影響も含め、注意深いかじ取りが求められる。

 FRBは、これまで毎月1200億ドル(約14兆円)としてきた米国債などの資産買い入れ額を、今月は1050億ドルに減らすと決めた。今後毎月150億ドルずつ減額する。一方で、0~0・25%としている政策金利の引き上げには、「さらに厳しい経済条件を満たす必要がある」と慎重な姿勢をにじませた。

 ほぼ想定された内容で、決定後も株価や為替相場は安定している。ただ背景には、難問がある。物価上昇の勢いが、予想以上に強いという現実だ。

 コロナ禍が一段落した後、米経済は需要が急回復する一方で、労働を含めた供給側がそれに追いつかず、物価が上がった。9月の消費者物価上昇率は前年比5%を超えている。

 FRBのパウエル議長は会見で「食費や交通費の値上がりによる家計の困難は理解している」と述べた。一方で、長い目でみれば物価安定の範囲内にあり、いまは雇用の最大化に注力すべき局面だとして、理解を求めた。

 一定の時間差で供給が回復すれば物価も落ち着くとの見方だが、議長自身、先行きの不確実性が高いことも強調している。供給制約による物価上昇は久しく経験がないだけに、物価と雇用のバランスを慎重に見極め、柔軟に対処する必要がある。

 米経済の回復は世界経済にとって大きなプラスだが、懸念されるのは、米国の物価高が予想外の金利上昇につながり、新興国や途上国から急激な資金流出が起きるようなシナリオだ。当該国経済にとっての打撃だけでなく、国際的な金融市場の混乱で影響が増幅されかねない。米当局は世界経済への波及効果にも十分に目配りしてほしい。

 翻って日本銀行は、ETF(上場投資信託)の実際の買い入れ額を減らす一方で、短期金利をマイナス0・1%、長期金利をゼロ%とする現行政策を当面維持するとみられる。確かに、日本経済の回復の勢いはまだ弱く、物価も全体的にみれば極めて低い水準にとどまる。

ただ、国際的な市況の上昇と円安を通じ、エネルギーや食料品などの輸入物価指数は大幅に上昇している。品目や部門による物価の動きの偏りが、企業収益や家計負担に悪影響を与えていないか、注視が必要だ。回復への道筋を確かにするためにも、先行きに予断を持つことは許されない。

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