Reduction of US Quantitative Easing: Risk Assessment and Normalization

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新型コロナウイルス禍で導入された危機対応型の金融政策からの転換である。米連邦準備制度理事会(FRB)が11月から、市場に大量の資金を流す量的金融緩和策を段階的に縮小する。

米国では経済活動の再開で景気が急速に回復した。最近はむしろ、高まる需要に供給が追い付かず、物価高が進んでいる。

こうした経済動向を踏まえて量的緩和の縮小を決めた判断は妥当だ。景気回復が遅く、デフレ懸念も残るため大規模緩和を継続せざるを得ない日本とは異なる。

ただし、FRBの政策変更が世界に及ぼす影響には警戒が必要である。米国の金利が高くなるとみてドルを買う動きが強まれば、新興国などの資金が流出して通貨安につながる恐れがある。

日本も対岸の火事ではいられない。ドル高円安が加速して輸入物価が上がれば、折からの原油高とも相まって、回復が遅れている景気に打撃を与えかねない。

FRBに求めたいのは、世界に混乱を招かぬよう注意して金融政策の正常化を図ることだ。量的緩和の縮小ペースはもちろん、今後の焦点である利上げについても国内外の経済情勢を十分に見極めて判断してもらいたい。

FRBは昨年3月、米国債などを買い入れて市場に資金を流す量的緩和策と、事実上のゼロ金利政策の2つを導入した。コロナ禍で落ち込んだ経済を支えるための異例の大規模緩和である。

このうち量的緩和について、月額で1200億ドル(約13兆7千億円)の資産購入額を徐々に減らしていくことを決めた。景気回復が順調に続けば、来年半ばには資産の購入が終了する。

もう一つのゼロ金利政策は当面維持する。これを解除して利上げへと転じる本格的な金融引き締めは時期尚早という判断だが、FRBは今後、いつ利上げするかという難しい判断が迫られる。

利上げが遅れてインフレを加速させるわけにはいかないが、前のめりに動いて景気を腰折れさせてもいけない。米国の物価高は、コロナ禍に伴う物流停滞や部材の調達難などの「供給制約」に起因する部分がある。それがどれほど長引くかも慎重に見極める必要がある。FRBのパウエル議長には今後、こうした点を踏まえた上で市場に対する丁寧な情報発信を続けるよう努めてもらいたい。

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