Amid Rising Tensions, a US-China Summit: Parties Must Continue Dialogue, Avoid Conflict

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米国のバイデン大統領と中国の習近平国家主席が3時間以上にわたりオンライン形式で会談した。

 台湾や人権、貿易やサイバーなどで米中の対立が際立つ中、首脳同士が意思疎通し、衝突回避に向けた方策を協議するのが狙いだ。

 その意味では、一定の成果があったといえよう。

 バイデン氏は「競争が紛争に進まないようにする責任がある」と述べ、習氏は「対話と協力を促進すべきだ」と応じた。両国関係のリスク管理や安定化に向けた協議の重要性を互いに強調した。

 軍事的、経済的な大国である米中の動向は世界に影響を及ぼす。共存の道を探る意義は大きい。

 もちろん、すぐに改善に向かうわけではない。

 今年1月に発足したバイデン政権は、国内経済の立て直しと同盟関係の再構築を優先し、中国への対抗姿勢を取った。中国はこれに反発し、米国が態度を変えるまで協力には応じない姿勢を示した。

 台湾をめぐって軍事的、政治的な緊張が高まり、香港や新疆ウイグル自治区の人権問題で対立が先鋭化した。この10カ月、建設的な関係を築けずにいたのが実態だ。

 首脳会談では、バイデン氏が懸念を列挙し、習氏は中国の立場を尊重するよう求めた。台湾問題では激しい議論になったという。

 重要なのは、こうした厳しい現状を打開できるような外交を精力的に展開することだ。今回の会談をその一歩とすべきだ。

 国際社会は、米中間に紛争が起き、世界経済が混乱に陥ることを憂慮している。米中にはそうした事態を回避する重い責任がある。

 台湾問題では米国が中国に配慮した「一つの中国」政策を維持し、中国が「平和的解決」を追求すれば、衝突の危機は遠のく。

 先日、米中は気候変動対策での協力強化をうたった共同宣言を発表した。具体性は乏しいが、世界に発信した意味は小さくない。

 これを先例として、核軍縮や感染症対策、世界経済の活性化などの分野に協力の裾野を広げることも可能なのではないか。

 会談で両首脳はモニター越しに笑顔を交わし、気心知れた旧知の仲であることをアピールした。この個人的な関係を両国の安定に生かさない手はない。

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